U.S.J. ピリオドがあるんだから(3)
筋肉隆々のU.S.J.が、優子とプアールにのっしのっしと近づいてきた。
これはレベル1の優子ではさすがに勝てる気がしない。
優子はヤドンに助けを求めるべく、辺りを見回した。
しかし、既にヤドンの姿は見当たらない。
はるか遠方で、コーヒーカップでくるくる回るヤドンとムンネ。実に楽しそうである。
――あかん……あいつら、マジで使えん!
優子が握りしめた拳がプルプルと震える。
優子とプアールを取り囲むU.S.J.の精鋭たち。
ボディビルダーのように腕を組むU.S.J.
それが優子たちを取り囲んでいるのである。
もう、恐怖と言うより、むさくるしい。
U.S.J.がポーズを変えるたびにプーんと匂う。
――なんか、汗臭い……
U.S.J.から、発せられる熱のせいなのか、何だか頭がくらくらしてきた。
――やばい、このままではやられてしまう。
優子はとっさにスマホ取り出した。
――なんか攻撃できるものを買わないと。
しかし、ネットにはつながらない。
――そうだった、さっき面白半分でmegazonで買い物したんだった。
だから、となりにプアールがいるのではないか。おバカさん。
――終わった……
今の優子に攻撃できる手段はスマホだけだった。
優子はハッと気が付いた。
いや、まだある。そう、アイちゃんだ!
アイちゃんは未だ、ゴンドラの中でチョコレートをかじっている。
新井さんのカエルの能力を有したアイちゃんなら、このU.S.J.たちにも勝てるかもしれない。
「アイちゃん! 助けて!」
優子は叫んだ。
本来、保護するべき幼女に対して、助けを求めたのである。もう、プライドもくそもあったものではない。
その声に群衆の中にいた一人の女が反応した。
「アイですって!?」
そう、アイちゃんの母親チャイ子である。
チャイ子は群衆をかき分け、アイを一目見ようと前へ出る。
チャイ子が、一番前へと顔を突き出した瞬間であった。
アイちゃんが乗ったゴンドラが上空へと勢いよく舞い上がった。そう、何かに押し出されるかのように一直線にまっすぐ上空へとはね跳んだ。
ゴンドラの下から大量の水が噴き出していた。
優子の顔に飛び散るしぶき。
――温かい……
優子の顔が、ふにゃけていった。
そう、ゴンドラの下から温泉が噴き出したのだ。
先ほど、優子がプアールをおちょくるために購入したものは、自動温泉掘削機。
プアールが投げた衝撃で自動温泉掘削機のスイッチが入り、落下と共に、真下へと掘り進めていたようである。
優子とプアールの馬鹿話のおかげで、掘削機が水脈に突き当たるまで掘り進める時間は稼げたようである。
さすが!
まぁ。当の優子は自動温泉掘削機の内容よりもその重量で選んでいたため、それが何であるか、今の今まで思い出せなかったようであるが。それは黙っておこう。
しかし、その噴き出す水量は別府温泉なみ、毎分約83リットル。
ものすごい勢いである。
あっという間に観覧車の周りはポッカポカの温泉が出来上がっていたのだった。




