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ドラゴンの王(4)

「そうね……私が美しいから。興味をそそらないだけよね……」

「アホか! お前みたいな貧乳のお子様に手を出したら逮捕ものだろうが!」


 この少年を誰が逮捕するというのであろうか。

 かつての勇者すら倒せなかった金色のドラゴンである。

 一体、誰が逮捕できようか、いや、誰もできないであろう。


「お子様ですって! これでも私は17歳! 聖羅女子高2年生帰宅部おとめ座のA型よ!」


 聞かれてないって……そこまでは……

 そらみろ……ドラゴンだった少年は、意味が分からず固まっておるわ。


「まぁ、いい。俺は自分と同じくらいの年齢の女性が好みだからな……」

「えっ! 女が好みなの? てっきり男だと思ってた」

「誰が男に興味があるのだ。男同士だと種の保存が叶うまいが!」

「一体、あんた、年いくつ?」


 先ほどまで泣いていたはずの優子は、急に強気に出始めた。

 なぜなら目の前にいる少年は明らかに中坊であった。

 ――こんなガキ! お姉さんがほっぺたつまんでヒーヒー言わせたるわ!

 おバカな優子は目の前の少年が金色のドラゴンであったことをすでに忘れているようである。


 だが、そんな少年は律儀にも両の手を指折り数えて何やら計算していた。

「俺か? そうだな、正確には覚えてないが900歳ぐらいかな……」

 うーん、十本の指でどうやったら900と言う数字が計算できたのであろうか?

 数学が得意でない優子は頭を悩ませた。


「えっ! あんた900歳!」

 中坊のガキだとたかをくくっていたが、まさか900歳のおじいとは思ってもみなかった。

 と言うことは、このガキ、900歳のババアが好みと言うことに……

 なるほど、そりゃぁ、ピチピチの女子高生は無理だわ……


「ごめんね。カサカサな肌が好みだったのね……トカゲだけに……」

「だれがトカゲだ! お前、アホだろ」

「何があほよ! ババ専に言われたくないわよ!」

「誰がババ専じゃ! ドラゴンは余裕で1000年以上生きれるわい!」


 優子はハッと気づいた。

 今の今までなぜ忘れていたのか自分でもわからないが思い出した。

 目の前にいるこのババ専の中坊のガキは、あの金色のドラゴンである事を。


 力なくその場にヘタレ込む優子。

 そんな肩から力なくブラの肩ひもが落ちていく。

「あぁ……私、やっぱり殺されるのね……」


 優子は涙をためた目で天を仰ぐ。

「あぁ、私は……あのキラキラと輝く星になってしまうのね……」

 いや……ここは洞窟の中だし。

 おそらく、天井で光っているのはコウモリの目だし……

 というか、あんた、死んでも、またレベル1になって生きかえるじゃん!

 って、今もレベル1か……


 うん? もしかして違うの? 本当に死んじゃうの?



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