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返して!(1)

 食いすぎて動けないアイちゃん。その姿は元の愛らしいゾンビに戻っていた。とりあえず、アイちゃんをおんぶした優子は、プアールと共に広場に戻ってきた。

 次第に参加者たちも集まり始めていた。

 しかし、その数は、最初にいた数の1/3ほどであった。

 と言うことは、そのほとんどがテッドと新井さんにやられたのだろう。

 実は、それほどの強敵だったのだ。

 そこに、ヤドンも満足そうに腹を擦りながら戻ってきていた。

 その腕には、いつも通りムンネがまとわりついている。

「旦那様、今度はちゃんと料理しますね」

「頼むぞ、やっぱ焦げ臭いのは、おいしくない」

 え……やっぱり、まるこげの参加者たちを食べちゃったの。

 一瞬、ドン引きした優子であるが、まぁ、もとはドラゴンである。

 それよりも、焼き加減にこだわる方が、驚きだ。


「さぁ、テッドさんと新井さんを倒した方には、豪華賞品があります!」

 舞台の上で、エムシーが叫ぶ。

 それを聞きプアールが喜ぶ。

「優子さん、私たち、テッドも新井さんもやっつけましたよね」

「そうじゃない」

 覚めた優子はうなずいた

「と言うことは、商品は二つとも私たちの物ですよね」

「そうじゃない」

 優子は商品などどうでもいい。経験値さえ入れば今はいいのだ。

 とにかくレベル1を卒業したい。

 そうすれば、何とかなるだろう。

 優子はステータスを開いた。

 しかし、そこにはいつもの数字。

 レベル1

 どうして……

 優子は絶句した。

 テッドと新井さんをやっつけたはずなのに、経験値が入っていない。

「プアール、私経験値が入ってないんだけど……」

「えっ? もしかしたら、商品と一緒にくれるのかもしれませんよ」

 そうか! コレはサブイベント! クリア報酬でドカンと経験値。一体、どれだけの経験値が来るのであろう。呪い、もとい契約でヤドンの経験値も自分のものである。レベル30ぐらいは、余裕じゃない!

「そうよね……そうに違いないわ!」

 ワクワクとしながら二人は待った。


「それでは、勝者を発表します」

 エムシーの声と共に高らかにファンファーレが鳴り響く

「テッドさん討伐は、ムンネさん! 拍手!」

 大きな拍手が鳴り響く。

 ムンネが恥ずかしそうに手を振りながら舞台へと上がっていった。

 優子とプアールが、舞台の下から狂喜している。

「やったー! やっぱりムンネよ! ムンネ!」

 ムンネが舞台に上がったのを確認すると、エムシーは続けた。

「新井さんを討伐したのは、アイちゃーん!」

 またまた、大きな拍手が沸き上がる。

「早く!」

 優子は背負ったアイちゃんを舞台の上へと押し上げた。

 ああぁぁぁ

 アイちゃんは、芋虫が這うかのように体をうねらせ、舞台を進む。

 それを確認しながら優子とプアールは手を打った。

「やったぁ!」


「それでは、二人には商品10万円又はせい剣のどちらかを差し上げますがどちらがいいですか?」

 舞台の下でプアールが叫ぶ

「10万円! 10万円! 10万円!」

 エムシーが、そんなプアールを邪魔そうに制止する。

「選ぶのは討伐者のお二人ですよ!」

 ハイ! ハイ! とプアールが手をあげた。

「私たちパーティなんだから、私たちにも選ぶ権利があると思いまーす!」

 エムシーがあきれた目でプアールを見つめる。

「えーっと、ムンネさんとアイちゃんはソロのはずなんですが……」

 プアールの動きが固まった。

 優子も頭の中が真っ白になった。


「なんですとぉ!」

「なんですとぉ!」

 二人の声が、はもった。




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