担当女神は貧乏神(5)
「もう……いいわ。で、そのスキルはどういったスキルなのよ」
「知りません……」
「へっ? 知りませんってどういう事?」
「だって、このスキル、現品限りの値引き品で、説明書がないんですよ」
「あんたアホなの?」
「アホじゃないです。プアールです!」
「名前じゃないわよ! スキルの内容が分かんなかったら、どうやって使うのよ!」
「フィーリングとか?」
「何がフィーリングよ!」
「大丈夫ですって! megazonの商品は親切設計ですから、大体、条件が整えばオートで発動しますって」
「で……その条件とは?」
「さあ?」
「やっぱり、バカだろう! バカ!」
「だから、バカじゃないです! 女神プアールですって! 何度言ったら分かるんですか!」
「もういいわ……で、私はどうしたら家に帰れるのよ……」
「あなたバカですか? 話聞いてました? お耳大丈夫ですか? アーアー聞こえてますかぁ?」
「プアール! あんたどつくわよ!」
「スミマセン! だって、さっき説明したこと忘れていたと思ったので……」
「魔王を倒すためにどうすればいいのかって聞いているのよ!」
「そうでしたか……なら、近くの町に行って、装備を買ってレベル上げ、それから魔王をぶっ飛ばして、生き残ればクリアーです。簡単でしょ」
「ちょっと……端折りすぎじゃない……要は、街に行って装備の購入ね。だったらお金ちょうだい」
「ありませんよ……」
「なんでよ!」
「だから、さっき言ったじゃないですか! そのスキルで全財産使い切ったんですよ! 全財産! お金なんて1円も残ってないですよ」
「本当に! ちょっとそこでジャンプしてみなさいよ!」
「えっ……」
「早くしなさいよ」
「本当に跳ばないとダメですか……」
「嫌なら、有り金全部出しなさい!」
「全部ですか! そんな……今日のご飯が……」
しぶしぶプアールは、ポケットの中から小銭を取り出した。
「何? これで全部? 30円しかないじゃない! ちょっとジャンプしなさいよ!今すぐ!」
「いくらでも飛んでやりますよ! ほれ! ほれ! これで満足ですか! あぁぁ!」
「分かったわよ。これでいいわよ」
「えっ……持って行っちゃうんですか……」
「当然じゃない」
「そんなご無体な……せめて10円だけでも残していただけませんか……」
「今時10円じゃなのも買えないじゃない! 消費税込みで11円よ!」
「この世界には消費税なるものはございません……」
「素敵じゃない!」
「ただ……物品税なるものがございまして、最高50%まで課税されます」
「何そのぼったくり……」
「この世界で生きていくには、結構お金がいるんですよ……」
「女神さまも大変ね……」
「あ……返してくれないんですね……これからどうしよう」
「で、町はどっち?」
「……あっハイハイ。それでは、プレイする町へ転生させますね」
「こことは違うんだ」
「いやだなぁ。ここは女神たちの世界ですから……魔王がいるはずないじゃないですか」
「すでにあんたが魔王級ですけどね」
「それじゃ、新しい世界に行ってらっしゃいぃぃ……あっそうそう、ゲーム中に死んだら本当に死にますから注意してくださいね」
「そういう事は早く言ってぇぇぇぇぇぇ」
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【興味ある人いる? プアールのステータス】
氏名 プアール
年齢 16歳
職業 megazon配送センターアルバイト
レベル 33
体力 3,000
力 899
魔力 0
知力 1
素早 5
耐久 9
器用 15
運 0
固有スキル 女神
死亡回数 0
右手装備 なし
左手装備 なし
頭装備 ポニーテール
上半身装備 megazon制服
下半身装備 megazon制服スカート
靴装備 megazon制服の靴
攻撃力 899
守備力 10
所持金 -350,4234(携帯代未払、水道代未払、家賃未払、電気代未払、何もかも未払!)
担当 優子




