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担当女神は貧乏神(4)

 優子は、声を張り上げた。


「それなら、さっさとクリアーしないと! どうすればいいのか教えなさいよ!」

「いたって簡単なことです。魔王を倒して最後まで生き残ればクリアーです」


「ちょっと魔王って、ロープレじゃないんだから!」

「いや、ロープレです」


「ロープレなの……」

「はい……」


「私嫌いなのよね……ロープレ」

「なんですと!」


「だって、かったるいじゃない。レベル上げとか」

「それを楽しむのがロープレじゃないですか」


「そうだ! あなた女神なんでしょ! だったらお約束のレベルカンストとか、魔王を一撃で倒せる武器とか頂戴!」


「何でですか……」


「異世界転生もののお約束じゃない! 転生した主人公がとてつもないスキルや武器を使って無双する! いいじゃない」


「そんなのアリマセン!」

「ないのぉ!」


「いや……ないことはないのですが……そこまで立派なものがあるというわけではなくて……」


「何言っているのか分からないのですけど! ハッキリ言ってもらえます?」


「はい! あの実は、その……確かに女神特典というのはあるのですが、それは、私が購入してあなたに与えるというものでして……」


「あるんじゃない! だったらすごいの頂戴よ!」


「実は……私自慢じゃないですけど、結構貧乏でして。今もこうしてmegazonで配達のバイトをしている身でして……」


「だから」


「その……要はお金がないんですよ! 私!」

「なんで私に向かってキレるのよ!」


「だって、さっきから何か寄こせってばっかり言っているじゃないですか!」

「当然じゃない! それが女神特典ってやつでしょ!」

「だから、私お金がないんで、こんなものしか買えなかったんですよ!」


 プアールは、一枚の紙を取り出した。

 それは長細い長方形。

 まるでお札である。


「なにこれ?」


「スキルですよスキル! それも固有スキル!」


「いや、それは分かるんだけど、何? この『貧乏性』って……」


 そう、お札には、デカデカと貧乏性と書かれていたのだ。


「お見それしました! スキルを言い当てるとはさすがです!」

「いや……普通に書いてあるじゃない……貧乏性って」


「えっ? 読めました? いやぁ読めないと思っていたので……」

「普通に日本語じゃない!」


「日本語じゃないですよ! 女神語ですよ! 女神語!」

「どっちでもいいわよ! 貧乏性ってなによ!」


「これに特に理由があるわけではないのですが……」

「ならどういう事よ!」


「私が買えるスキルがこれだけだったんですよ。なんと、半値八掛け二割引しかもタイムセールで50円引き!」


「一体いくらだったのよ!」


「270円です……」

「はぁ! 270円って転生者に渡すスキルが270円でいいわけ?」


「だってしょうがないじゃないですか! 私の全財産でもぎりぎりだったんですから!」


「あんたが貧乏性じゃ!」

「よく言われます……テヘ」


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