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最初からクライマックス(3)

「しかし、なぜ我を……」

「アンタこの世界で一番強いんでしょ。さっさと死んで私の経験値になりなさい!」

 そういう優子は足のかかとでドラゴンの眉間を何度もケツっていた。

 ガツガツという音のたびに金色のドラゴンは嫌がるかのようにまぶたを閉じる。


 しかし、ドラゴンは納得できなかった。

 この世界最強と言われる自分がレベル上げの敵役?

 いやいや普通ならば、自分のような存在は何らかのクエストのクリア条件ではないだろうか。

 まぁ百歩譲ってクエストでなくともドラゴンが持つレアアイテムなんかが目的のはずだろうが。

 それが……

 それが……単にレベル上げ?。

 なんか安く見られたようで無性に腹が立つ!

「小娘! レベル上げのために我を狙ったというのか?」


 だが、すでに勝負がついたと思っている優子はドラゴンに背を向けながら地面に置いたスクールバックを開いていた。

 そのスクールバックはネイビー色のマチが広くたっぷり収納できそうな感じ、いわゆるちょっとダサいスクールバックといったところ。

 そんなバックの中から手鏡を取り出すと、なぜか髪の乱れを気にしはじめたのだ。

「レベル1だとなにかと不自由なのよ……あぁ、また枝毛になってる。もうイヤ!」


「ちょっと待って! お前! レベル1! レベル1といったのか!」

「お前じゃないわよ! 私には、ちゃんと木間暮優子(きまぐれゆうこ)って名前があるんです!」

「名前などどうでもいい。レベル1なのか! 本当にレベル1なのか!」

「名前がどうでもいいって、それ、失礼じゃないですか。えぇ、確かに私はレベル1ですよ。スミマセンね、レベル1で!」


 手鏡をスクールバックに戻した優子が目の前の空間でサッと手を振ると薄青い光を放った板がどこからともなく現れた。

 そして、優子は面倒くさそうそうにその板をドラゴンに見せるのだ。

「ほら見なさい。レベル1でしょ!」


 氏名 木間暮優子

 年齢 17歳

 職業 女子高生

 レベル 1


 体力 50

 力 10

 魔力 1

 知力 1

 素早 5

 耐久 5

 器用 5

 運  7

 固有スキル 貧乏性:いらないもの引き受けます♡

 死亡回数 5


 右手装備 スマホ(ネット接続付き)

 左手装備 スクールバック(いっぱい入るよ)

 頭装備  セーラー服リボン(赤色)

 上半身装備 セーラー服(半袖)

 下半身装備 紺のミニスカート(校則違反)

 靴装備 スニーカー(通学用)


 攻撃力 5

 守備力 5


 所持金 999,989,613,861,954

 パーティ なし


 優子のステータスを見た金色のドラゴンは絶句した。

「我は本当にレベル1に負けたのか……」


 悔しがるドラゴンを小馬鹿にするかのように優子はフッと鼻で笑うと青い光の板の上で手を振った。

 するとまた何もない空間に戻っていたのである。

「分かったのなら早く死になさい。早くレベルアップしたいのよ。レベル1だと何もできやしない……本当に面倒。こんなロープレのレベルアップ作業を好んでやっているやつって絶対にマゾか引きこもりに違いないわ!」


 しかし、金色のドラゴンは最強だった自分がレベル1ごときの小娘に倒されたことが納得いかなかったのだろう。

 先ほどから強く食いしばった歯がギリギリと音を立てていた。


「ワレは黄金の竜! ヤカンドレル=ゴールデン=ドラゴンの名にかけて、こんなことで死ぬわけにはいかぬぅぅ!」

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