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オタンコナッシー(3)

 なぜ、この町の住人たちは、ヤドンを勇者と思うのだろうか、やはり、胸に大きく『ゆうしゃ』と書いているからなのだろうか。もしかしたら、この世界では、言った者勝ちなのかもしれない。


 ヤドンが我に返り、膝まづく老人に目を落した。


「はぁ? なんだって?」

「いえ……今、先ほど、あなた様は白き手紙を天に掲げ『文字』と叫ばれました」


 後で知ったんだけどブリーフってドイツ語で文字ってことなんだって。私、ドイツ語、知らないから、分からなかった。テヘ。優子は心の中で舌を出す。

 ていうか、ここドイツ語通じるの? ドイツなのか? 違うだろ!


「文字……俺が?」

「はい、ブリーフと……」

「あぁ! 言った! 言った!」

「やはり、それでは、天の神はなんとお告げをくださったのでしょう。ぜひ、我々に教えてくだされ」

「何も。ほれ、この通り真っ白なパンツだ」


 ヤドンは老人の前で、純白のブリーフパンツを広げた。

 老人は目を丸くしながら、そのフリーフを見つめた。


「やはり、私どもにはその『文字』が見えないのですね……」

「よくわからんが、ここに何か書いているのか?」


 ヤドンは、純白だと思っていたブリーフが、汚れていると思い、いろいろと天に向かって透かして見た。

 しかし、やはり何も見えない。


「勇者様……あなたは、そこまでして私たちのことを……よほどのことが書かれていたのでしょう……」


 老人は力なく肩を落とした。

 優子はその老人の肩をツンツンとつついた。

「どうしたのおじいちゃん? 私だったら、相談のるよ?」

「えぇぇい、近寄るでない! パンツを人前で脱ぐような変態娘には用がない!」

「誰が変態娘ですって」

「お主しかおるまいが、違うというのなら、今、そのスカートをめくってみい!」

 くっ!

 確かに、このスカートの下はノーパン! 乙女の純情が詰まっているのだ。

 そうおいそれとのぞかせるわけにはいかない。

 優子はスカートを押さえつけた。


「それ見てみい! この変態女が! 変態魔女ムンネディカと一緒じゃないか! いや、お主、もしかしてムンネディカの回し者か?」

「胸デカですって! デカければいいってものじゃないのよ! 程よくこんもりと、手からちょっとはみ出すぐらいのやわらかな感触……これぐらいがいいのよ!」

「お主の胸……どう見てもそれ以下、いや貧乳……無乳ではないか」

「私の胸はこれからなのよ! これから!」


「すまぬ。無乳の娘よ……確かにお前はムンネディカの回し者ではないな。ムンネディカの下僕たちはどれも巨乳ぞろい。無乳のお前が下僕のはずがない……すまぬ」

「だから……誰が無乳よ! 誰が!」

 優子の拳が震えていた。


 取り残されていたヤドンが、無理やり話しに割って入った。

「そのムンネディカがどうしたというのだ?」

 老人はヤドンの足にすがりつく。

「勇者様、どうかこの町の少年達をお救いください。年頃の美少年たちはすべて、ムンネディカに連れ去られてしまったのです」

 優子はあたりを見回した。

 確かに、街には人が溢れてはいる。しかし、確かに言われてみると13歳から15歳ぐらいまでの《《美少年》》の姿が見当たらない。まぁよくよく見ないと気が付かない。だって、ブサイクなのは残っているし、そもそも、美少年ってくくりが圧倒的にその数が少ないし。

 辺りを見回したヤドンは頭をかしげた。

「少年なら、そこにもいるじゃないか。何が問題なのだ?」

 ヤドンは一人の少年を指さした

 咄嗟に、側に膝まづきヤドンを見あがていたアラサーの女の人が叫んだ。


「不細工は嫌なのです!」


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