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呪い(1)

「へぇ……それで、俺のところに来たんだ」


 ヤドンは洞窟の出口へと歩きながらつぶやいた。

 ヤドンが歩くたびに上半身にまとわれた勇者のよろいから重厚な金属音のこすれる音がする。

 しかし、それとは対照的に、下半身はブリーフだけと涼やかであった。



「そうよ。今更、レベル上げとかったるくてやってられないでしょ。だから、一番強いやつやっつけて、さっさとレベルアップってわけよ」

 スクールバックを担いだ優子がヤドンの横を歩いていく。


「大体、レベル1だと、木の棒ぐらいしか装備できないのよ。そんなのでどうするのよ、本当!」

「なら、さっき俺に攻撃した、あの武器は何なんだ?」

「あぁ。あれね。誰でも装備できるレベル無制限の使い捨て武器よ」

「使い捨て?」

「もうね、ネットの世界には、いろいろなものがあるのよ。megazonって知ってる? そこには、ありとあらゆるものが売っているの」

「ありとあらゆるもの?」

「そう、さっきのなんかは、『ドラゴン 一撃必殺 武器』で検索したらトップに出てきたのよ。なんで、あの時、2個買っとかなかったかな、あたし……あっそうだった。現品のみの在庫1だったんだ。テヘ」

 優子は自分の頭をグーでこつんとつつくと舌をぺろりとつき出した。


「まじかよ……ドラゴンの王であるこの俺を倒せるような武器が、簡単に手に入るのか……なんて世界だよ……」

「でも結構高かったのよ……」

「いくらだよ」

「100億……」

「100億か、俺を倒すために100億、まぁ悪くない金額だな……って、お前、そんなに金持ってるの?」

「なに、さっきステータス見せたでしょう!」

「いや、レベル1の持っている金なんて気にしないだろ。普通」

「普通じゃなくて済みませんでしたね」

「そうだな、お前も立派な変態だな」

「パンツ一丁の変態と一緒にしないで!」


 暗い洞窟から出た二人の上には、突き抜けるような真っ青な空が広がっていた。


 うーんと背伸びをする優子。


 腰をふりふりブリーフの感触を確かめているヤドン

「ヤドン、どうして洞窟から出てきたのよ?」

「あのまま洞窟にいても仕方ないだろ。お前にやられて、この体で治癒が完了するのを待つしかないのだから」

 いやいや治癒のためなら洞窟の中にいたほうがいいだろう。


 疑問に思った優子は、ヤドンの顔を覗き込む。

「本当に?」


 ――まぁそれだじゃないがな。


 実のところ、ヤドンは、力が弱まったことが嬉しかった。

 なぜなら、ヤドンはドラゴンの王。

 存在するだけで他の生き物を威圧する。

 相手を怯えさせない為、洞窟の中に隠れて住んでいた。

 そんな孤独な生活が800年も続いた。

 かつて自由に飛び回っていた世界をもう一度見てみたい。

 そんな忘れていた欲望が蘇って来たのである。



「じゃぁ、明日まで、お別れね」

「明日?」

「明日になったら、ネットに5分つなげることができるのよ。そしたら、また、megazonで使い捨て武器を購入するわ。今度は大丈夫! ちゃんと2個買うからね!」






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 これで、作者ヘのエサやりは完了です。


 あすから、馬車馬の如く、バシバシ小説書いていると思います。

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