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新たなる世界(2)

 優子は藪の中に駆け込むと持っていたスクールバックの中に手を突っ込んだ。


 服! 服!


 しかし、すぐ近くにあるはずのバックの底に手が触れない。

 バックの中を掻きまわす手は、何か大きな空間の中でぐるぐると回っていた。


 優子は焦った。


 とりあえず着る物。

 制服でも何でもいい。

 そう、学校のセーラー服だ!

 必死で優子の手は、スクールバックの中を探した。


 その時、優子の手に何かが触れた。


 優子はそれを掴むと咄嗟に手を引き出した。

 優子の手には、セーラー服とスカートがにぎりしめられていた。


 アルガドラスの世界の女子学生もセーラー服を着ていたと言うことか。

 たぶん、そうなんだろう。

 きっとそうだ!


 優子はとりあえず、それを身に着けた。

 サイズは、ピッタリ! 若干、胸周りがタブつくのは仕方ない。

 それは、優子の理想と現実のギャップのせいだろう。


 今度は靴、今度はセーラー服リボンを頭に描いた。

 すると、やはり靴とリボンがカバンから取り出せた。


 次はパンツ!

 バックからオッサンのトランクスが引きずり出された。


「なんでトランクスなのよ!」


 もしかして、優子さん、欲求不満ってやつですか?

 優子は自分好みのパンツを思い描く。


「純白で……レースがあって……シルク地で……」


 優子はイメージすると、バックの中に手を突っ込んだ。

 すると、純白のパンツが現れた。


 優子は、なんとなくスクールバックの仕組みが分かってきた。

 どうやらこのスクールバックは、自分が思い浮かべたものが出てくるらしい。


 ハハンと優子の口角が歪む。


 優子は頭の中で強く念じた。


 ――お金! お金! お金! お金!


 そして、勢いよくバックの中に手を突っ込んだ。


 しかし、優子の手は何もつかむことができなかった。

 バックの中で優子の手は、クルクル回るだけ。


 ――おかしい……この感じだと、お金を掴むことができるはずなのに……


 優子の頭に、前の世界アルガドラスでは苦労したことがよみがえる。

 アルガドラスでソロで戦うことを決意した優子は、装備を買うためのお金を一人で稼がなくてはならなかった。


 しかし、低レベル時というのは、大体決まってお金集めというのは大変な仕様なのだ。

 倒せるモンスターのレベルは低い、こなせるクエストもレベルが低い。

 当然得られる報酬も低いのである。

 至極当然の話である。


 ――かったるい! そんなのかったるすぎる!


 レベル1の優子は咄嗟に名案を思いついたのである。


 ――簡単にお金集める方法があるじゃない。


 すぐに優子はその方法を実行に移した。


 パパ活!


 ギルドの掲示板に、『パパ募集! 当方13歳の女子中学生!』との張り紙を出した。


 13歳?


 まぁ、胸だけ見ると13歳でも行けるだろう。


 そして、優子のもとに道具屋の店主、役人、勇者などいろいろな男が集まった。

 多少危ない目にもあったが、優子の手には、300万円もの現金が集まっていた。

 また、幸運なことにパパ活は、副次的な効果ももたらしてくれた。

 おやじたちの趣味に付き合っているうちに優子のレベルが10にまで上がっていたのである。

 そして、戦闘スキルもまた覚えていた。


『ムチスキルしびれ打ち』『ムチスキル双蛇打ち』『捕獲スキル鉄錠拘束』『捕獲スキル亀甲縛り』


 優子は300万の現金を、お気に入りのうさちゃんのお財布に入れ、魔王退治に旅立った。




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