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白の魔人と黒の花  作者: 川平識
黒の花
18/19

邂逅

最近投稿が滞っており、申し訳ありません。新型コロナの影響により仕事が立て込んでおりました。少し落ち着いてきましたので、少しづつ投稿ペースを上げていけたらと思っています。

 〜〜♫〜〜♫


 男は廃ビルの屋上で鼻歌を歌いながら呑気に寝転がっていた。


 肩にかかる程度の黒髪、顔は美青年という部類に入っている。格好を変えれば女性に見えなくもない、中性的ともいうべき顔立ちだ。


「エサは蒔いたし、気づいてくれるといいな〜。」


 その男はとある人物に想いを馳せていた。


「いつ頃会えるかな。早く会いたいな〜」


 子どものように無邪気な笑顔と口調で楽しそうに独り言を話す。すると唐突に、男の腹が『ぐぅ〜〜』と鳴り出した。


「ん、お腹減ってきたな。相変わらず燃費の悪い身体だなぁ」


 男は立ち上がり辺りを見渡す。そして見つける、ちょうどいい食糧を。

 そう、食糧とは憎魔だ。この男こそ、最近起きていた憎魔共食い事件の元凶である。


 男はビルからビルへと飛び移り憎魔が歩いている付近の建物屋上まで移動する。明らかに人間の身体能力ではない。


 そして眼下の憎魔に狙いを定めると、数十メートルはあろう高層から飛び降りた。そのまま憎魔に向かって落下していく。距離が十数メートルの位置で憎魔は気配を感じ上を見る。だが、時すでに遅し。そのまま猛スピードで落下しながら、男は憎魔の頭部にかかと落としを決める。


 ドゴンッっと鈍い音が鳴り、憎魔は痛みを感じる間も無く絶命した。落下による力も加わっていたとはいえ、強靭な肉体を持つ憎魔を一撃で葬った蹴りの威力が伺える。


 衝撃で舞った土けむりの中、男は何事もなかったかのようにゆっくりと立ち上がり憎魔を見る。その頭は潰れたザクロのようになっていた。


「では、いただきます。」


 憎魔の遺体から腕を引きちぎり、そのまま齧り付く。


 耐性のない人間が見たら卒倒してもおかしくない、ショッキングな絵面だ。


「う〜ん、今回のはあんまり美味しくないな。」


 そう言いつつも、男は食べ進めていく。


「まぁいっか。」


 口元に付いた血を腕で拭いながら呟く。

 そしてひとしきり食事を終え、その場を後にする。


 そして元いた屋上に戻り、ふと目線を遠くに移す。するとその視界の中で動く物体を捉えた。


「ん〜〜?あれは…」

 目を凝らして見てみる。


 2、300メートルは先だが、男は蓮と六華を捉えた。

 そして大きく目を見開き、身体が小刻みに震えだした。


「まさか、こんなに早く再会できるなんて。」


 歓喜の笑みを浮かべながら呟いた。


 ————————————————————


「六華、今の音聞こえたか?」


「はい、微かですが。あちらの方角で、何か衝突したような音が聞こえました。」


 六華は右側を指差した。


「やはり聞き間違いではなかったか。そちらの方角へ向かうぞ。気を引き締めろ。」


 蓮と六華は裏路地へ入り、音のした方角へ歩みを進めた。

 歩き始めて10分程、目の前に大通りが姿を表す。


「そろそろ近いはずだ。六華、目を発動しておけ。何がくるか分からん。」


「了解です。」


 六華の右目が徐々に黒く染まっていく。

 そして大通りに出たと同時に、蓮は前方に憎魔の死体を見つける。

 2人はゆっくりと近づき遺体を観察する。


「まだ新しい、血が乾いていない。ということは先ほどの衝撃音はこいつが殺された時の音か。」


 そして蓮は辺りを見渡し、


「戦闘の痕跡がない。つまりこの憎魔は一撃で頭を潰されて死んだのか。大きさ的にLv2、こんな芸当ができる奴はカルマの中でも限られる。それかもっと上位の憎魔か?」


 考察を続けていると、蓮は殺気を感じ取る。そして同時に六華が叫ぶ。


「上です!」


 六華が言葉を発するのと同時に上を見上げる。すると上空十数メートルの位置から人間が降ってくるのが見えた。


 蓮はその場から素早く跳びのいた。


 そして男が地面に着地する。鈍い音と共に地面のアスファルトにヒビが入り破片が飛ぶ。人間のできる芸当ではない。蓮は素早く戦闘態勢に切り替え六華にハンドサインを送る。六華も銃を抜き出し相手に向ける。


 2人は何も言わず身構える。すると、男が言葉を発する。


「はじめまして♪」

 毒気を抜かれるような緊張感のない笑顔で言われた。一応会話ができる相手だと思い、蓮も質問を返す。


「《《何者》》だ?お前」


「おっと失礼。僕の名前は、そうだな……大月オオツキとでも呼んでくれ。」


 明らかに今考えたような仕草を見せる《《大月》》という男。

 しかし、蓮は名前などが聞きたかった訳ではない。


「聞き方を変えよう。お前は人間か?」


 大月はニヤニヤしながら答える。


「人間以外に見えるのかい?」


「見た目だけな。だが、気配は明らかに憎魔のソレだ。」


「まぁ僕がなんであれどうでもいいじゃないか!それよりも、君の名前を教えてくれないか?」


 蓮は無言でもって答えを返す。


「んん、いいじゃないか。教えてくれても。」


 大月は不貞腐れたようにボヤく。だが、彼には名前を聞くことは二の次である。本命は蓮と闘う事。


「名前は追々聞く事にするよ。では本題に移るよ、僕と戦ってくれ!」


 話にならないなと蓮は思う。一方的に言いたいことだけ言ってきた大月に対して、蓮は若干イラついてきた。


「俺がお前と闘う理由がないな。」


「本当にそうかな?君たちは憎魔の共食いの件で調査しにきたんだろう?その原因が僕だとしたら?」


 蓮はピクッと、まぶたを動かす。なぜその事をコイツが知っているのか。そして原因が自分だと言い張っている。奴の誘いに乗るのは非常に不快ではあるが、このまま何もしないわけにはいかない。


「なぜその事を知っている?」


 蓮はその言葉と同時に、凶悪な殺気を大月にぶつける。常人なら竦み上がって腰が抜ける程の空気感が漂う。しかし、大月はその殺気を受けて歓喜した。


「い〜〜〜〜い殺気だ!ゾクゾクしてきたよ!僕もヤル気が出てきた!ああろう、いますぐろう!」


 大月は身悶えしながら叫ぶ。そして同時に身体から凶悪な殺気を発する。それは蓮にも劣らない凄まじいものだった。蓮は平気だが、六華は一瞬身体をビクつかせ、辛そうに顔を歪める。


 どうにも最近ついてない。この短期間で強敵と立て続けに出会う事に対して、蓮は心の中で愚痴る。今日は六華の銃の性能テストも兼ねるつもりだったが、おあずけになりそうだ。

 相対しただけで相手の戦力を全て把握することなど出来ないが、長年死と隣り合わせの生活を送ってきた蓮はある程度分かることもある。そして、恐らくだが目の前の狂人は覚醒者のステージに立っている。


「下がっていろ、お前にはまだ荷が重い相手のようだ。」


 蓮は手で六華を下がらせる。六華自身も先ほどの殺気で、彼我の戦力差を感じたのか異論を唱えずに下がる。足手まといになるくらいなら何もしない方がマシであると。


「安心しなよ!僕は女子供には優しいんだ!その少女には手を出さないよ!」


 その言葉を聞き、蓮は身構えながら言った。


「変態野郎がフェミニスト気取りとはな。笑えない冗談だ。」


 謎の男大月との戦いが始まった。

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