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旅立ち

「さて?次は誰にしようか」


 召し使いから新しく腕輪を受け取る。

 もとい奪い取った俺は、誰に着けようかと思い辺りを見渡す。

 すると、部屋の隅でこそこそと逃げ出そうとしている宰相を見つけた。俺から逃げられるとでも思ったのだろうか、これでも模写は得意なんだぜ?

 俺は即座にそいつの後ろに転移し、話しかけた。


「どこ行くんだ?」


 するとどうだろうか、何とも無様な恐怖に染まった表情をしてこちらを見上げて来るじゃないか。

 これは遊ばずには居られない。


「おいおい、どうしたんだ?そんなに怯えて何か怖いことでもあったのか、どれ、俺に任せろ解決してやるよ。こうやってなァァア!!」


 そうして俺は、内心もバカ笑いで宰相の腕に無理やり腕輪を嵌め込んだ。

 宰相は、 ぐったりとして動かなかったが一応クラスメイト以外で俺に反抗する奴がいれば自害する様命じた。

 それ以降、事はトントン拍子に進んだ。

 取り敢えず、まずは魅皇に出口を塞がせて誰も逃げられないようにし、全員を閉じ込めた。

 抵抗しようにも、下手をすれば国王並びに姫ちゃん。並びに宰相もが不幸に見舞われる事になるため、誰も手出しは出来なかった。

 もちろん、クラスメイトからは怒号が飛んだが気にはしない。

 毎度の如く召使いからは腕輪を奪った俺は、より玉座に近い貴族から順に腕輪を嵌めて行った。

 四十名近い人数のクラスメイトに行き渡る数の腕輪であるため、主要な貴族は全員隷属化出来たと思われる。よってこれからこの国は完全に俺の支配下である。

 ご愁傷さま、という訳で。


「早速命令だ、いいかお前ら、今までの命令は破棄してこれから言う命令に従え、一つ、俺に対する反抗を許さない。二つ、俺の命令に意図的に従わないやつはその場で姫ちゃん以外自害しろ、姫ちゃんは自分で大切な人を1人殺せ、従わない部下がいても処刑しろ。三つ、これからも今まで通りに国を治めろ、その代わり滅亡は許さん、以上だ」

「「「「「......は?」」」」」


 俺の最後の命令に、一同困惑でという様子だ。

 仕方がない、少しだけ説明しておこうか。


「勘違いするなよ?俺は国が欲しいんじゃない、お前らみたいな得体の知れんクズどもに指図されるのが嫌なんだ。そもそも先に手を出したのはお前らだ。やり返されて当然だろ?あとは、俺の都合のいい時に良いように動いてくれりゃあ、取り敢えず今は文句もねぇ。言っても無理だろうしな。後は俺らで好き勝手するから、取り敢えず家と金をよこせや」


 すると国王がすぐさま部下に用意するよう命じた。これで当分の間は問題ないだろう。もし金が尽きてもまた用意させればいい。


「と言う訳で、外見てくるわ」


 そう言って俺は、踵を返して謁見の間を出ていった。





 side 魅皇


「さて、これからどうするよ」


 俺はクラスメイト達を見渡した。


「影丞がめちゃくちゃしたお陰でそこの姫ちゃんとか国王に騙されずに済んだ訳だけどさ。みんな知ってる通り、あいつはお前らと仲良くする気なんてサラサラないから、あいつが実質この国のトップでも何もいいことなんてない。実際あいつは自分の保身しかしてないからな。元の世界に帰れるのかも分からない現状、俺達はこの世界で生きてかなきゃならない。となれば、お前達はどうするんだ?」

「「「「......」」」」


 皆無言だが、まあこんなもんだろう、このままでは拉致があかないので話を進める。


「俺は今から魔王に会いに行こうと思ってる」


 これを聞いて、周りは騒然とした、すると姫ちゃんがおずおずと口を開く。


「では、魔王を退治して貰えるのですか?」


 答えは無論。


「嫌だね、俺はそんなリスクの高い真似はしたくないからな。あくまで会いにいって話を聞くだけだ、もしかしたら向こうに帰る方法を知ってるかも知れないからな」


 これを聞いて姫ちゃんはとてもガッカリした様だ。しかしここに影丞が居ればこれが演技だと伝えて来るだろう、俺はもう姫ちゃんを信用しちゃいない。


「それでだ皆、もし、もしそのつもりがあればで良い。俺と一緒に来ないか?勿論残ってくれても構わない。残った人も、元の世界に帰る方法が見つかれば一緒に帰ろうと思ってる。どうかな?」


 俺が聞くと、一部のクラスメイトが声を上げた。


「おれ、行くよ」

「わ、私も行きます」

「なら俺も」

「賢者の力を見せてやる!!」


 すると、殆ど全員が行くと言い出した、まあ概ね予定通りだ。

 残る奴らはまあ、どうでもいいだろう、俺の周りに居ないやつの面倒までは見きれないし、何より全員我が強そうだ。


「それじゃあ行こうか、姫ちゃん、魔王ってどこかな?」

「この大陸の北の海を超えた先に居るそうですけど......」

「ありがとう、じゃあ、さよならだ」


 そう言って俺は皆を引き連れて部屋から出て行った。





 こうして勇者一行は旅立った、彼らの行先には何が待ち受けているのだろうか。

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