お姫様は演技派だった
誰?ブクマ付けて高評価したの、滅茶苦茶嬉しいじゃん、この話半泣きで書いたかんね?割とガチで。
「あのさ、姫ちゃん。アンタの言ってることがほんとだって、誰が証明出来んの?」
俺は姫ちゃんにそう問いただす、答えは、
「出来ませんね」
これである。
まあ、そりゃそうだ。そう思って魅皇に顔を向ければ首を竦められたので、俺はもういいか、と姫ちゃんを解放する。
「やっと、分かって頂けましたか?」
という姫ちゃんの言葉、答えは勿論。
「分かるわけねえだろ」
「では何故、私を」
「解放したのかって?めんどいじゃん、俺のスキルで何時でも殺れるし、となりゃ、いつまでもお荷物抱える理由もない」
すると魅皇も騎士さんを解放する、騎士さんは何故か鬼の形相でこちらを睨んでいるが、取り敢えず無視してクラスメイトに話しかける。
「なあ、お前ら、誤魔化されんなよ。俺らは被害者だ、なんでこいつらの為に世界を救わなきゃならないんだ。俺らには力があんだぜ?さっさと逃げ出しゃいいだろうが、こいつらがホントの事言ってる証拠は無いし、こいつらも証拠がだせねえ、胡散臭えにも程がある」
そう俺が言えば、実の所俺はあまりクラスメイトに好かれていないので、姫ちゃんの可愛さ故に何人かが反発してくるが、そこに魅皇が更に重ねる。
「そうだぜ、お前ら、俺らにはこの世界を救う理由が無い。確かに?姫ちゃんは可愛い。だが、命をかけてまで世界を救うには、姫ちゃんの笑顔じゃ全然たりねえし。何より、ほんとに俺らは元の世界に帰れんのか。影丞も言った様に、そんな証拠はどこにも無いんだぜ?」
この言葉にクラスメイトは押し黙り、姫ちゃんと騎士さんに疑いの目を向ける。
これを見て俺が、人望の差ってこういうもんか、などと考えていると、姫ちゃんが弁明を始めた。
「皆さん、確かに我々を信用出来ないのは分かります、しかし、考えてみてください!あなた方には、既に力があります。それは何があろうと真実です。そして、あなた方が真に成長した時、その力はどうなっているでしょうか。きっと、魔王など簡単に討ち滅ぼすことが出来るでしょう。そして、その時の栄光を思い浮かべて下さい。富も名誉も思うがまま、全世界の人々があなた達を称えるでしょう。いずれ元の世界に帰ってしまう皆さんからすれば関係ない話かも知れませんが、この世界の歴史に皆さんの名前が未来永劫刻まれるのです!そして、これは皆様からすれば腹立たしいかも知れませんが、このスキルは消耗が大きいため、皆さんを元の世界に返すには、あと数年の準備が必要になります。でしたら、少しでも楽しんで行かれてはどうでしょう。皆さんのその力があればこの世界では何だって出来ます。ですから、この際、片手間でも良いのです。どうか、どうか、お願いします。世界を救って頂けませんでしょうか!」
この時の姫ちゃんは台詞の最後の方に泣いてしまった様に見える。
そう見える。
成程、なき落としか。やはり彼女は自分の力を理解している。だが、嘘だとバレバレだ。そりゃそうだ、涙が出てねえからな。いや、今でてきた。瞼の上から目を擦っているから、それが原因だろう。しかし、そこまでして騙したいなら、乗ってやろうじゃないか。
そうして俺は魅皇に、今から嘘をつくとハンドサインを送る。
「分かった、分かったよ姫ちゃん、信じるぜ、そこまで言われちゃしょうがねえ。女の子泣かしちまうのは俺の主義に反するんだ、だから、泣き止んでくれよ、な?」
そう、俺が言うと、姫ちゃんの嗚咽が少しずつ収まっていく。無駄にクオリティが高いが、その口角が少しだけ上がっているのを俺は見逃さない。
そして少し経ち、姫ちゃんがなきやみ此方を向く。
その顔は状況そのまんま、今泣き止みましたと言う顔で、目の周りは赤く腫れ目は充血している。勿論両方とも擦りすぎの影響だ。
そして彼女はいけしゃあしゃあと言い出した、
「それでは、助けて、頂けるのですか?」
勿論、絶対に嫌だ。だが一応乗ってやろう。
「いや、まだ決めてない、だが、詳しい話くらいは聞いてやろう、それでいいよな、魅皇?」
「ああ、それでいいだろう」
俺達がそう言えば、彼女とても可愛く笑い、とても嬉しそうに言った。
「本当ですか?では、着いてきて下さい、少し、話が長引いてしまいました、きっとお父様が待ちくたびれていますわ」
そうして彼女はクラスメイトにも笑いかける。
「皆様着いてきて下さいますか?」
無論その笑顔の前に、拒否権などき存在しなかった。