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S級社畜のディストピア  作者: 茶ノ宮風香
8/8

あぁ…研修よ…

更新しました。ごゆるりとお楽しみくださいませ。

第2章2話


初任者研修ですか…


(そうだ。仕事には研修がつきものだろう?研修の内容は、ある会社の子会社を潰すことだ。)


…このムササビの知能はムササビ相応だったようだ。妄想を語られると厨二心がくすぐられて精神衛生上非常によろしくない。


(君は今僕を馬鹿にしたな?百聞は一見にしかずだ。現実を見て現実を受け入れろ。)


ムササビが小さな手で私を指差すと、霧の中からスーツケースが私に向かって一直線に飛んできた。


…⁉︎…グフッ…!!


そのままスーツケースは全く勢いを殺さず私のみぞおちを直撃する。吹っ飛ばされたと思った時には視界が1週していた。そのまま景色が歪み、目の前がぼやける。


(いってらっしゃい。とりあえず着いたら開けてみるといい。まあ、人間とは好奇心の塊。言わずとも開けるだろうけどね。)


かすかにそんな声が聞こえた気がした。


何時間意識を失っただろうか。気がつくと殺風景な部屋にいた。あぁ…ここは私が働いていた会社だ。机の上には割れていないガラス玉が置かれている。ボーンアローが内部で規則正しく音を鳴らし周回している。それを見て思う。私はガラス玉を壊す前の過去に転生したのではないか、と。ふと、ガラス玉に肌色が映っていることに気がつく。よく見ると、ガラス玉の表面には裸の私が映っていた。嘘だろおい。


私は全裸であり、人相も相まって逮捕される格好をしていた。


開幕即死はオワコンのソシャゲ並みにやる気が削がれる。

私は慌てて周りに衣類が落ちていないか見渡す。当然あるはずもない。しかし、先程ムササビによってぶつけられたスーツケースが床に転がっているのを発見する。もしかしたら入っているかもしれない。開くとサラリーマンが使う仕事用具一式が入っていた。中にはスーツもある。慌ててスーツを羽織り、裸体を隠す。それからスーツケースの中に入っているものを物色する。ハンコ、名刺ケース、ハンカチ、付箋…etc


社畜セットが一式揃っていた。えっ単に働くためだけに転生したのか…?ガッカリするも現実を受け入れるしかない。明朝体で地区原と彫られた白色の象牙をぼんやり眺め、ポケットにしまう。縁起物だしな。


とりあえず転生したし、酒を飲もう。そう思って職場の冷蔵庫を開けたその時、ブザーがけたたましく鳴り、非常出口のランプが緑から警告を示す赤へ変わる。


……⁉︎


ー警告、警告。その場で待機セヨ。一切の抵抗を禁ズル。繰り返すー


冗談じゃない。私はすぐにスーツケースを手に取り、部屋を出ようとドアを開ける。廊下を走り、脱走を試みる。階段を降り、出口に向かうと主任らしき人影が立っている。


地区原くんじゃないか。こんな時間まで勤務しているとは感心感心。だが、酒を盗み出す行為については我が社の社訓第6条禁酒規則に違反するなぁ?よって君は私刑だ。


主任だ…おいおい三権分立も真っ青だぞと言う言葉を飲み込み、逃げる方法を思案する。走って逃げる?ダメだ。追いつかれる。ならば排除する?ダメだ。逆に殺される。ならば…説得か…?ダメだ。主任は意思疎通を図る知能を持ち合わせていない。そうこう考える間にもジリジリと主任が詰め寄ってくる。冷や汗が頰を伝う。


地区原アアァアアアアア!!!!


主任が吠えると同時に殴りかかってくる。ドゴッと鈍い音が聞こえた時には視界が回っていた。鮮血が尾を引く。


テメェは今からミンチにしてやるゼェエエ!


骨が折れる音が聞こえる。何度目かの殴打で吐血する。白いワイシャツが真っ赤に染まる。痛い。



いやぁ地区原クンは殴りがいがあるよ〜。でもさ、こっちも疲れてきたからそろそろくたばってくれねぇか、ナ!


主任の蹴りが腹に入る。こんなところで…まだ死にたくない…!


お前がくたばれよおおおおおおおお!!!!


顔を涙と血で汚しながら絶叫する。その時、


私の内ポケットから何かが飛び出した。小さな真っ赤な円柱だ。空中で止まると、ギギギ…と肥大化する。同時にあたりに飛び散った血を吸収してゆく。


明朝体の文字で彫られた地区原という文字が目に入る。私の判子だ。


主任はこの光景を呆然と、いや、すぐに口元を緩め、笑う。


なんだこれはァ⁉︎ハッハッハッ手品師にでもなったつもりかァ⁉︎


これが最後に話した主任の遺言となった。



『決裁の時だ』


私の言葉が言い終わるか終わらないかのうちに判子が赤熟し、血魂を放つ。主任の上半身を穿ち、一瞬で肉片となる。


私はその光景を見て安心すると、膝から崩れ落ちた。

本当は昨日あげたかったのですがリアルの社畜スキルが発動し、あげられませんでした。文句はリアルの上司に(ry

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