タバコ
寂れたロビーでタバコを吹かせた君が
そろそろ潮時だというように長い髪をかきあげた
疲れ果てた横顔を見た時
もう手遅れだと思い知る
離れたくない
夜眠る前君の頭の中に僕がいなくても
零れ落ちた雫が海になってしまう前に
手を伸ばしていれば 何か変わっていたのか
君を手に入れた時
この世の全てが僕のものになった気がした
自分勝手な思い込みが君を追い詰めるとも知らず
優しさに甘えて本質を見抜けなかった僕のせい
離れたくない
君のぬくもりに包まれ 永遠を信じたあの頃
傷つくことを恐れず
真っ直ぐ僕を見つめる君が怖かった
離れたくない
君の口からさよならがでるまで
冷たい風とタバコの香りに包まれながら
揺らぐことのない瞳をいつまでも見つめることができたなら