5話 超能力の威力テスト(後編)最終話
今話が最終話となります。
次の人は、影山千代か。能力は闇。なんだか、嫌な予感がする。
影山は黒髪を腰の辺りまで伸ばした、女だ。目は深い紫色。吸い込まれそうになる。年齢も目視じゃよくわからない。年下にも見えるし、年上にも見える。不思議だな。
影山は白いラインの前に立つと、俺のいるほうを向いた。合図をしろ、という事なのだろう。
「3、2、1、0!」
この日、4回目になる合図をした。
すると、影山は手を合わせ、だんだん手と手の間隔を遠ざけていった。手と手の間にあったのは黒い球体だった。個体ではないようで、影山が手を動かすと、それに合わせて流動している。手のひらほどの大きさになった時、影山は的に向けて放った。
ゆっくりゆっくり、黒い球体は的に向かって動く。黒い球体が的に触れた瞬間、的が、消えた。跡形もなく。そして、あの黒い球体も消えていた。
俺はしばらくの間、口をただパクパクさせていた。
しばらくした後、俺は気づいた。超能力だから、何が起こっても不思議じゃないと。
俺は諦めて、次の人にうつることにした。
次は風谷桜良か。白髪も不思議だが、黄色の目も不思議だ。一体なぜ、ああなるのだろう。能力は風か。
「3、2、1、0!」
合図をすると風谷は人差し指を前に出し、軽く右から左へ動かした。すると、カランという鉄の音がした。的の部分が真っ二つに切れていたのだ。落ちた方の的を見ると、綺麗に切られている。風を利用して切ったのだろうか。汎用性が高そうな能力だな。
次は土田大地か。能力は土か。どうやってやるのだろう。髪は黒だと思っていたが、どうやら、濃い緑のようだ。なぜ皆は特殊な髪の色をしているのだろうか。能力が何か関係あるとか?
「3、2、1、0!」
合図のあと、大きな音がして、地面が揺れた。すると、大地(自然の方)がみるみる的を飲み込んでいくではないか。
一瞬で全てが終わってしまった。
1人くらい普通の人はいないのだろうか。
後、2人か。
次は氷室涼という名前の男だ。小柄で、薄い水色の髪に碧眼だ。能力は氷。ああ、さっき超能力を実演した男か。
涼は地面に手を付けた。
「合図を頼む。」
そう言われた。何か準備がいるみたいだ。
「3、2、1、0!」
合図を出すと、地面に氷が生成されていく。そして、大きな槍となり、的へと向かっていく。
ガキン
バキン
何度も何度も氷の槍が的にぶつかる。しばらくすると、
ペギッ
という小さな音がして、的の中心が氷の槍によって貫かれていた。
氷と鉄では鉄が勝つと思っていたが、こういうこともあるんだな。全く、常識って何だったんだろう。
ーーー次が最後のようだ。
確か名前は山本千秋。赤みががった茶色の髪に茶色の目。炎を扱うそうだ。
「ねえ、早く合図、してくれない?」
あれ、男だと思っていたが、どうやら女だったようだ。催促されるがままに、合図をする。
「3、2、1、0!」
次の瞬間には大きな火球が彼女の手のひらにあった。最初は拳ほどの大きさだったが、どんどんどんどん大きくなっていく。これ、大丈夫なのか?
最終的には1メートルほどになって、彼女の手を離れていった。
バキバキバキ
という鈍い音がして、鉄の的が破壊されていく。
が、火球はそこでは止まらなかった。
敷地を囲う塀にを焼き尽くしていく。やばい。
「おい、あれ、何とか止められないか?」
そう問いかけると、彼女は小さくこう呟いた。
「制御はちょっと難しいんだよなぁ。どうせだし、食べちゃお。」
食べる?何をいってるんだ。
彼女は手を前にだし、軽く指を前に動かし、炎を手招きする。
すると、火柱になって、彼女の方へ向かっていく。そして、そのまま、彼女を焼き尽く……さなかった。
彼女は大きく口を開けて、炎を食べてしまったのだ。
そして、今、俺の中で何かが壊れる音がした。
常識、だろうか。
俺はこの部隊でうまくやっていけるんだろうか?
俺は大きな溜息をついた。
この話で完結となります。読んでいただき、ありがとうございました。




