2話 上司登場!
連続更新です。前話より短いです。
そのまま素通りしようとした時、サングラス男に呼び止められた。
「キミ!宇崎慎也くん!」
「はい。なんでしょうか。」
俺は恐る恐る返事をした。
「私はキミをあの人、つまりキミの上司、の部屋まで連れていかなければならないのだ。」
「えっ。でもこれから、寮に荷物を置きに行こうと。」
「それより、こっちを先に済ませて置いたほうがいい。」
そう言われて、俺は今、俺の上司となる人(いや、もう上司なのか?)の部屋に向かっている。
「着いたよ。」
そうサングラス男に言われた。見ると、目の前に大きな重厚感のある黒樫の扉があった。
というか、今更気づいたことだが、この建物は前、俺がいた職場と全然違う。前は利便さが重要視されていた感じだったが、今は利便さもある中世ヨーロッパ風って感じだ。
「荷物を預かっておこう。キミの寮の部屋に置いておいてあげるから。」
断ろうとしたが、結局言われるがままになってしまった。
とりあえず、挨拶をしておこう。
ふー。俺はゆっくりと深呼吸をした。よし、これで大丈夫。
コンコンコン。ドアのせいか、重みのある音がする。
「どうぞ。」
聞こえてきた声に従い、中に入る。
「失礼します。」
そして、その人を見た途端、顔に爽やかな春風が当たった気がした。
その人は女性だった。しかも、おそらくハーフだ。明るい茶髪がクルッとカーブしていて、ボブになっている。すっと通った鼻筋に白くてツヤツヤな肌。そして真っ赤な唇と明るい翠色の目。宝石のようでとても美しい。
誰もが見惚れてしまうような女性、この人が私の上司になるのか。
「アンブローズ・ 英理よ。よろしくね、新人君。」
名前から考えると、やっぱりハーフか何かのようだ。名刺を渡そうとすると、
「いいの。私そういうのはあまりしないの。」
と言われてしまった。
「ところで君のスーツちょっと汚れてるわね。ちょっとハードだったかしら?」
と聞かれた。
「ああ、えっとこれはですね。ここが山に囲まれてるじゃないですか。なので、山を登って下ってきたからだと思います。」
そう答えたら、英理さんは結構驚いていた。
「あら、わざわざそんなことしたの?そんなことしなくても、山の麓に洞窟があったでしょ、蔓で入り口が覆われてるからチョットわかりにくいけど。そこを通ればいいのよ。」
それを聞いて俺は必死にここへ来るまでの道を思い出していた。
蔓で覆われた洞窟?あっ、あったわ。
なんで、俺はあんなめんどくさい事をしたのだろう……
ものすごく俺は後悔をしていた。そしたら、英理さんが
「さて、ココの事を説明したいから、ちょっと出かけましょ。」
そう言って部屋の外に連れ出された。
「ココの状況を手っ取り早く知るには、君の同僚を見た方がいいわ。みんなに屋上に集合するように言ってあるし。」
英理さんの言っていることがよくわからない。が、ついていけばいずれ分かる気がした。
「その前に、ちょっとだけ説明しておくわね。」
屋上に行くためにエレベーターに乗った時に言われた。
「ココではね、キミが今までやっていた仕事とは結構違う事をやるのよ。まあ、けど君ならできると思うわ。」
やっぱり、よくわからない。だが、ひとつ気になることがあったので聞こうとした時、
「着いたわよ。」
と言われ、言うタイミングを逃してしまった。
屋上には、8人の男女がいた。比率としては、男5女3ってとこか。
すると、英理さんが
「皆、このコが宇崎慎也君よ。」
と紹介してくれた。軽く会釈をした後、英理さんは俺にも他の人を紹介してくれた。
「えっと、慎也君。それぞれの名前は、左から順番に言っていくと、山本千秋、海原清代、風谷桜良、影山千代、土田大地、犬飼翼、一条光と氷室涼よ。で、あなた以外のこのコたちは全員超能力者よ。」
は……?
読んでいただきありがとうございます。




