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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2018年上半期に作ったもの
86/514

踏み躙る者(ヒューマンドラマ)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


奴隷制度に則って僕は買われ、主人によって心身ともに蹂躙された。


踏み躙られた傷を癒やすことなど出来はしない。

僕に屈辱を与えた彼の心臓を貫いてやる。

機会をうかがった。彼の懐に潜り込み、朝までを共に侍る機会を。


真夜中、夢うつつに泣きながら見知らぬ女の名を呼ぶ彼を見下ろし、ナイフを掲げる手が止まる。

逡巡は、哀れみのためじゃない。

だけど、僕はこんな風に泣く人間にはなりたくない。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2018/03/27(火) ジャンル:ヒューマンドラマ

傷付けられる者から傷付ける者になったとき、傷付ける者としての苦悩が始まるのです。

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