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七草粥(ヒューマンドラマ)
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七草ばやしを教えてくれたのは、母だった。
――ななくさなずな、とうどのとりが、わたらぬさきに。
包丁で七草を叩きながら、家族の無病息災を祈って唄うのだという。
母の背中を思い出す。
いつも父に怒鳴りつけられ、上げられた手を避けることも出来ない、弱い背中。
叩いた七草をまな板の脇によけた。
病床の父のもとへは、具の入っていない粥を運ぼうと思った。
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2020/01/07(火) ジャンル:ヒューマンドラマ




