413/514
柚子寒天の妖精(微ファンタジー)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
取引先の接待で懐石料理。
笑うタイミングさえ気遣って、料理の味なんてしやしない。
――今、皿の上で何か動いた。
虫かと思ったけど違うらしい。
柚子寒天に閉じ込められているのは、小さな小さな妖精だった。
寒天に息を塞がれて藻掻く細い手足。
「……というのはどうかね、■■くん」
取引先の笑い声。
僕は慌てて箸を伸ばし、寒天を塊ごとごくりと飲み込んだ。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
2019/12/27(金) ジャンル:微ファンタジー




