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アメジストひとつぶ(恋愛)
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ぼっちゃまが、柱の陰から手招きしている。
微笑ましい仕草に、そっと歩み寄った。
「どうしました?」
「……やる」
手の中には、きらめくような大粒のプルーン。
「お前が一番きれいだから」
こんなお年で女を口説くなんて、早熟なこと。
旦那さまの血筋だものね。
私は笑って首を振る。
いいえ、ぼっちゃま、結構です。私、そういうものには困ってませんから。
同じ大きさの宝石を渡せるようになったら、またいらしてくださいね。
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2019/12/26(木) ジャンル:恋愛




