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それでも手を差し伸べる(八雲 辰毘古さん)
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「……先輩、何で助けてくれるんですか?」
自称後輩の視線を背中に感じる。
ゴブリンの刃を間一髪で受け止めた私は後ろも見ずに答えた。
「ああ、全く。何でだろうなぁ。分かるならむしろお前が教えてくれ」
言い置いて剣を払う。
肉を断つ重み。次の標的へと剣の先を向ける。
我儘で、お調子者で、私の指示など一つも聞かない鬱陶しさ。
だが、それでも私の後をついてきた者だ。
微かに笑う声が聞こえたような気がする。
悪魔め、と心中で毒づいて、無視した。
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2019/08/01(木)
八雲さんを見ていると、どうしても「お兄ちゃん」みを感じます。
お兄ちゃんって良いですね、無限の包容力。大人の余裕。何もかも許せる人は、何もかもを受け入れる。
純粋過ぎて翻弄される、そんな魅力を持つ物語の主人公です。




