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先に行って良かったのに(和神凪さん)
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通学路の事故現場、物々しい警察の制服から離れ、白い犬が静かに立ちすくんでいる。
死んだ主人をまだ守るつもりなのか。お前にも行く場所があるだろうに。
手を差し出すと、少し躊躇ってから頭を擦りつけてきた。
囲いの中を物悲しい瞳で眺め、くぅんと一声、鳴いて消えた。
「おい、そんなとこで何やってんだよ」
「別に」
背後からかかった声に振り向くと、半分透けてる同級生の姿。
どうやらこっちは、まだ自分の状況が分かってないらしい。
あの犬は、これが心配だったんだろう。
多分、呼ばれたんだ、こいつをどうにかして欲しいって。
死んでまで学校に行く気満々の制服姿に、苦笑で答えた。
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2019/07/31(水)
可愛らしいイラストを描かれる和神凪さんのことを、私は不言実行の人と感じています。
口数少なに(実際お会いすると、そう寡黙な方ではないのですが)正しいと思うことをやり通す方。
優しさの押し売りはせずとも、求められれば手を貸すことは拒まない、そんな物語の主人公です。




