371/514
不思議の図書館(黒猫の住む図書館さん)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
腹ぺこの黒い子猫は、ミルクの匂いにつられて扉をくぐった。
半開きの譜面から流れるピアノの音。
ぱらぱらと風にめくれた頁が、蝶になって空を舞う。
棚に差し掛かった本の隙間からぴとんぴとんとミルクが滴っていた。
子猫を呼び込んだのは、姿なき図書館の主だ。
彼はこの黒猫を次の管理者と定めた。
子猫が覚えることはまだまだいっぱい。
だから今は、丸くなっておやすみ。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
2019/05/20(月)
初めて拝見したときに、何てすてきな筆名だろうときゅんとしました。
可愛くて、静謐で、ちょっとミステリアス。
どこにでもあってどこにもない、素敵な図書館です。




