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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
#ふぁぼくれた方を主人公にして140字小説を書く
370/514

はじめての友だち(ヒトエビトさん)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


ずっと一緒だった。

鉄棒、雲梯、滑り台。いつだって君は公園にいた。

影オニ、花摘み、おままごと。君と一緒なら楽しかった。


小学校で新しい友達が出来た。

少しずつ、君と会う時間は減っていった。

公園に行くことも少なくなった。

一ヶ月ぶりに顔を見せた時には、そこにはもう君はいなかった。

二度と会うことはなかった。


そして今、幼い息子が鉄棒の影、誰もいない場所に話しかけている。

僕は君のことを思い出す。

頬にかかる黒髪、赤いリボン。

白いレースの襟付きワンピース。

笑い声、引き上げた唇の赤さ。


息子の小さな手が、咲いたばかりのつつじを握っている。

あの日君と咥えた花蜜の甘さがこみあげて、僕は目元を押さえる。

もしかして、そこにいるのは君じゃないか。

そうだったらどんなに良いかと、僕には祈ることしかできない。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2019/05/15(水)

温かくて、少し寂しい。柔らかくて、どこか悲しい。

そんな優しいキツネのイラストを描かれるヒトエビトさん。

幻の淡さと現実の苦さ、そしてちょっとした親切心の心地よさ。ヒトエビトさんの物語には、そんな割り切れない切なさが含まれます。

郷愁と後悔を抱えて未来を紡ぐ、そんな物語の主人公です。

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