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羊飼いと雲の上のお城(水浅葱ゆきねこさん)
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ふもとの一軒家に少女は暮らしている。
仕事は羊飼い、相棒は白い犬。
1人と1匹は、毎日一緒に山に登る。
今日も犬の咥えてきた杖を握って、少女は羊を追う。
駆け回って羊を導く犬を眺めつつ、岩に腰かけて夢想する。
もしもあの雲の上に、大きなお城があったなら。
見たこともないようなご馳走。
華やかな調度の数々。
煌く宝石と繊細なレースで飾られたドレス。
あれも、これも。
きっとお城ならあんなものも――
ペロリと手の甲を舐められて我に返る。
さあ、そろそろ羊を呼び戻さなくてはね。
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2019/04/21(日)
紡がれる物語が、とてもワクワクするのです。
きっと日々の中で、ワクワクすることを探されているのだろうなと感じます。
ハラハラする日々の中に穏やかさを、平凡な毎日の中にファンタジーを、相反するものを自然に内包する物語の主人公です。
 




