343/514
憧れの君(ヒューマンドラマ)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
遠目でさえ気付いた君が、大きく手を振った。
まさか気付かれると思わなかった僕は、慌てて振り返す。
周りにいるのは同級生だろうか。
ひそひそとこちらを見る視線を受けると、上げかけた手はどうにも様にならない。
誰だって変に思うだろうさ。親子ほど年の離れたサラリーマンが、女子高生に親しげにしてるなんて。
何の下心もないなんて、誰も信じてくれない。
だけど、僕と君。お互いだけは知っている。
僕のこの気持ちは皆の想像するものとは違うって。
趣味の囲碁、鮮烈な一手を打つ君にずっと憧れてる。
君は少しだけ得意そうに、ぴしりと白石を鳴らす。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
2019/04/02(火) ジャンル:ヒューマンドラマ