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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2019年上半期に作ったもの
339/514

端役の恋(恋愛)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


「愛しています」


あなたを前にして、口に出来たのはそれだけだった。

舞台の上で私に与えられたのは、恋人と取り違えられ射殺される女の役。

友人は止めたわ、私を馬鹿にした配役、とるに足りない端役だって。


だけど今、私、舞台の上であなたと同じスポットライトを浴びている。

あなたの目は私だけを見ている。

たくさんの視線と光を受けて、恍惚とした眼差し。

こうしてあなたの視界に入れるのなら、それだけで。


さあ、後は見事に退場するだけ。

暗殺者よ、お出でなさい。

私きっと最期まで目を逸らしたりしないわ。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2019/03/27(水) ジャンル:恋愛

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