表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2019年上半期に作ったもの
300/514

壊された秘密基地(ヒューマンドラマ)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


セミの死骸が道を埋め、冷蔵庫にいっぱいだったスイカもあと少し。

夏は過ぎていく。夏休みが終わればキミはまた都会に戻る。


晩ごはんのカレーを食べながら、キミと僕は黙って頷きあった。

逃げよう、一緒に。子どもだけでもきっと大丈夫。

夜は秘密基地で寝れば良い。お腹が減ったら道端のイタドリをかじるんだ。

僕の教えたたくさんの遊び場で、ずっとキミと。


永遠に続く、幸せな二人暮らしのはずだった。

だけど、堅牢な秘密基地は、バリケードを引き剥がした大人達の手で、あっという間に破壊された。

暴れる僕とぼろ泣きするキミの手は、簡単に引き剥がされた。



夢想のお城だった秘密基地の跡を眺めながら、僕はそっと片手を上げる。

あの日ぎゅっと繋いでいた左手の薬指に、銀色に光る輪っか。

僕を見つけて近寄ってきたキミが、僕の肩を叩く左手にも、同じ指輪。


僕の視線を追いかけて、キミは苦笑する。


「スーパーから拾ってきたダンボールじゃ、バリケードにはちょっと弱かったね」

「あの瞬間はね」


僕は、小さな公園の古ぼけたトンネルから視線を戻した。

笑い合う僕とキミの、新しい秘密基地はすぐそこに。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2018/01/26(土) ジャンル:ヒューマンドラマ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ