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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2017年に作ったもの
3/514

羽化(恋愛、その他)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


薬指の紅を唇に伸ばす。

嗅ぎ慣れた独特の香り。何度も口移しで味わった君の味。

君の甘さだと思っていたのに、今になって知った。

このメーカーならみんなこの味がするんだ。


憧れていた君の不在を、今夜からは僕が埋める。


夜の歌舞伎町。

着飾った蝶は、履き慣れないハイヒールを一歩踏み出す。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2017/11/30(木) ジャンル:恋愛、その他

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