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春の香り(ジャンル不明)
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へくしっ、とくしゃみした途端、くすくす笑い声が聞こえた。
見渡すと、庭先の梅の木陰に艶やかな振り袖姿の少女が1人。
親戚だろうか。頭の隅で考えながら、手招く少女の傍へ駆け寄る。
「君は?」
「人に名前を聞くときは自分から名乗るものよ」
零れ梅のような白い肌。
振り袖の椿と同じ色した唇。
艶やかな黒髪が肩で揺れる。
ふわり、風に梅の香が薫った。
鼻先を甘い吐息がくすぐる。
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2019/01/17(木) ジャンル:不明




