282/514
ずっと見ていましたから(微ホラー)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
幽霊が見えたって、良いことなんかないんだ。
公園で仲良くなった老人の肩には、美しい少女の霊がしがみついていた。
老人に向け優しく微笑む表情から多分家族だろうと推測はしたが、幽霊には年齢なんてないから、生前のいつの姿を取っているかは分からない。
細君か娘か悩んだ結果、どちらでも問題なさそうな言葉で誤魔化した。
「奥さまはお綺麗な方でしょうね」
老人は、怪訝な顔で首を振る。
「妻はいないんだ。女性にはとんと縁のない人生だった。そう、母も早くに亡くしてね……美しい人だったそうだが」
少女がにまりと唇を歪める。
ああ、君が虫除けをしていたのか、と知りはしたけれど、だからと言って僕に何が出来る訳でもない。黙って老人の背中を見送った。
ふと振り向いた少女の、微笑みの艶やかさと言ったら。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
2018/12/28(金) ジャンル:微ホラー




