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劣等機(SF)
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降り注ぐ銃弾の雨。
爆音と悲鳴、砂煙と血飛沫の上がる中で、僕はただ――子守唄が聴きたい、と思った。
AI達は劣等機体である人類なんて、使い捨てだと思っているらしい。
集めておけば、勝手に自動増殖する点だけが、コストにおいて有意義だってくらいなもので。
ああ、分かるよ。
AI達の隙も無駄もない完璧さに比べれば、人類なんて余分と無意味の塊みたいなものだ。
実際、劣等機体の僕は、戦争中にこうしてとりとめもないことを考えている訳だし。
……ああ、子守唄が聴きたい。
知能部が破損しつくして僕が復帰不可能になる前に、せめてもう一度。
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2018/12/14(金) ジャンル:SF




