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花の命は長い(ファンタジー)
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帰ってきた魔法少女を、相棒のぽこたんの沈黙が迎えた。
不規則な呼吸音。ゆっくりとまぶたが上がる。
魔法少女は短いスカートを翻して、軽やかに決めポーズを取って見せる。
「ただいま、ぽこたん! 今日も町の平和は守ったよ!」
ぽこたんの仕事は、魔法少女の笑顔に甲高い声で賛辞を送ること。
なのに、もうぽこたんに出来るのは小さく口を開くことだけだ。数日前から呼吸をするだけで精一杯。
ぽこたんの声にならない声を聞いて、魔法少女の瞳から涙が落ちる。
その涙に寄り添ってあげることすら、ぽこたんにはもう出来ないのだ。
ぽこたんの身体は小さい。
そして、小動物の命は短い。
いつだって、少女を置いて先に行かなきゃいけない。
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2018/11/22(木) ジャンル:微ファンタジー
以下はTwitter投稿時に梨鳥ふるりさん(https://mypage.syosetu.com/638466/)の描いてくださったぽこたんです。
ぽこたん可愛いなぁ……ごめんね。