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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2018年下半期に作ったもの
260/514

通りすがりのキューピッド(恋愛)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


新聞を読むフリをしながら、そっと耳をそばだてた。

通勤電車の中、女子高生達の潜めた声が響く。


「好きって言っちゃいな」

「絶対無理だよー、外見だけで好きって言われても腹立つって言ってたもん」


冗談を装ったやり取りの中に、ちょっとばかり混じった本気の恋心。

ちらりと振り向く彼女の視線の先には、イヤホンの少年。……うん、なるほどイケメンだな。


駅に着いた。雑踏が一斉に入り口に向かう。

僕も一緒に扉へ向かいながら通り過ぎざま、突っ立ってた彼のイヤホンコードを、後ろの彼女のカバンに引っ掛けた。

吉と出るか凶と出るか。それどころか、最初から諦めちゃってその場しのぎのやり取りで終わるかも?


でもほら、外見だけで好きになるのがダメなら、内面も見てやりなよ。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2018/11/19(月) ジャンル:恋愛

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