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自負と信頼の落とし穴(微ホラー)
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「もしも僕が」
私の頬に触れながら恋人が言う。
「こうして触れるだけで、人の気持ちを変えることができるとしたらどうする?」
またつまらない冗談を言っている、と私は呆れる。
彼はこういう無意味な「もしも」の話が好きなのだ。
「……そんなの愚問だわ。私は正体不明の不思議な力で操られるような安易な女じゃないし、あなたはそんな酷いことしないって信じてるもの」
私の答えを聞いて、安心したように彼は笑った。
「操るとか恋をさせるとか、直截に弄ると受け答えが単調になってすぐ飽きちゃうからね。……さ、それじゃ食事に行こうか」
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2018/10/30(火) ジャンル:微ホラー