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ギャップ萌えってヤツ(ファンタジー)
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「俺を呼んだのはお前か?」
煙がはれ、召喚した悪魔の姿が徐々に露わになってくる。
全人生と全財産をかけた魔術の成功に、僕の胸はうち震えた。
「そう、あなたを呼んだのは僕だ。さあ、契約をかわそう!」
僕の声に悪魔は薄く笑い、肩を竦めて答えた。
「我が主人となりたければ、堕落さすべき高潔な人格を示して見せて欲しいものだな」
「高潔な人格?」
「あるだろう、ギャップ萌えってヤツ。格差があるからこそ面白いのだ。それと同じ、清廉なるものの魂を堕とすのでなくば、わざわざ俺が契約してやる必要もない」
分かるような、分かんないような。
でも、この条件を飲めないなら俺は帰る――なんて言われたらしょうがない。
僕は慌てて彼を引き止め、高潔な人格とやらを何で判断するのか尋ねたのだった。
――そんなこんなで今、僕は聖職者のように清らかな生活を送っています。
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2018/10/26(金) ジャンル:ファンタジー