237/514
酸素ください(恋愛)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
強化合宿なんてちょっと面倒だなって思ってた気持ちが吹っ飛んだ。
バス酔いで席の交換があるかもとは言われてたけど、自分が酔いにくい方だから聞き流してたの。
まさか隣に座ってたナナちゃんが車酔いするタイプだったなんて。
まさかまさか、前に移動したナナちゃんと入れ替わりで憧れの先輩が隣にくるなんて!
バスが揺れた時にちょっとだけ腕が触って、それだけでドキドキしちゃう。
心臓うるさい! 呼吸止まりそう……!
先輩がふと顔を上げて、私――じゃなくて私の向こうにある窓の外に視線を向けた。
「あ、あれ海じゃないか?」
言うが早いかぐっと窓に顔を寄せて――って……待って、先輩!?
近い近い! 私を挟んで窓に寄らないで!
「あ、やっぱ海だ。おー、すげぇ、キラキラしてる」
先輩が喋るたびに目の前で喉仏が動く。
あっあっあっ……もう無理、息が出来ない。
うはは、私、海に入る前から溺れそうだわ……。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
2018/10/13(土) ジャンル:恋愛




