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手のひらの一滴  作者: 狼子 由
2018年下半期に作ったもの
225/514

理想のヒーロー(ジャンル不明)

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


倒れ伏し砂を掴む僕の前で、あの日夢見た正義のヒーローが踏み込んだ踵をざり、と鳴らした。


こんなはずじゃなかった。

僕だって正義を為したかったのに。

裏工作しか知らないまま、ここまで来てしまった。


思えばすべての始まりは、いじめっ子の弱みを握って大人しくさせたことだった。

良かれと思ってやったことだが、一度手軽な手段を知れば、後はもう他の手は取れなかった。

「皆のために」で敵は徐々に強大になり、今では国家元首を裏から動かす程になった。


もう僕には、正面から対峙するにはどうすれば良いのか分からない。

人に見せられぬ裏側などないと笑うヒーローの表情が眩しい。

かつて僕が夢見ていたのは、この笑顔だったはずなのに。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


2018/09/27(木) ジャンル:不明

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