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理想のヒーロー(ジャンル不明)
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倒れ伏し砂を掴む僕の前で、あの日夢見た正義のヒーローが踏み込んだ踵をざり、と鳴らした。
こんなはずじゃなかった。
僕だって正義を為したかったのに。
裏工作しか知らないまま、ここまで来てしまった。
思えばすべての始まりは、いじめっ子の弱みを握って大人しくさせたことだった。
良かれと思ってやったことだが、一度手軽な手段を知れば、後はもう他の手は取れなかった。
「皆のために」で敵は徐々に強大になり、今では国家元首を裏から動かす程になった。
もう僕には、正面から対峙するにはどうすれば良いのか分からない。
人に見せられぬ裏側などないと笑うヒーローの表情が眩しい。
かつて僕が夢見ていたのは、この笑顔だったはずなのに。
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2018/09/27(木) ジャンル:不明




