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もっと早い段階じゃないですかね、多分(微ホラー、微ファンタジー)
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池の水面は透き通るエメラルド色をしていた。
その色に吸い込まれるように池の中へ足を踏み入れ、冷たい水を両手で搔く。
水面を滑るように平泳ぎで進むと、例えようもない開放感だった。
気づけば、ふと下から影が近付いてきている。
見下ろせば、一口で僕を丸呑みに出来るような巨大なまずが、ぽかりと口を開いていた。
逃げる間もなく、ぐるぐると渦巻きながら、真っ黒な口の中へ吸い込まれていく。
両側から無情にも閉じられる天井を見上げながら、諦めと共に肺の中から息を吐き出した。
なまずの餌は蛙だもの、平泳ぎを選んだ時点で運命は決していたのだ。
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2018/09/01(土) ジャンル:微ホラー、微ファンタジー
Twitterの時よりだいぶ加筆しました。140字は無謀だったな……。