表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔石使いのS.Q.L.~Javaで学ぶ魔法入門外伝~  作者: つむらてんほ
鬼王の章
8/37

第八話

 ドルスはゴブリンキングに切りかかるが、難なく避けられる。

 すでにその剣速は落ちていた。


「たしかに、ゆっくり話もできませんね。さすがにゴブリンキングともなると無詠唱でどうこうできません。それでは」


 ポートは一呼吸着くと、構造修飾言語(S.Q.L.)を唱えた。


(SELECT)第四(* FROM )魔石(STONES)我が(WHERE)呼びかけ( ELEMENT=)応え('FIRE' AND)( SIZE=4)表せ( LIMIT 1)

「魔石使いだと!」


 驚愕しているドルスが横目で見たのは、ポートの右手に握られた卵大の赤い魔石。

 そして、さらなる構造修飾言語が唱えられた。


魔石(UPDATE)我が(STONE)信に(SET)え剣(TYPE=)なり給え('SWORD')


 ポートの手にあった魔石が赤い光を放つ。

 それは一本の火柱。

 それは炎の剣。


 本能によるものか、それを恐れたゴブリンキングが大剣をポートに向け、振り下ろす。

 それは一歩引いたポートの前髪を数本散らすに終わり、体勢を崩したゴブリンキングに対してポートが無造作に炎の剣を振るうと、ゴブリンキングは辺りに肉の焼ける匂いを漂わせながら真っ二つとなった。

 さらに返す刀で、自らのボスを一撃で倒され、呆然としていたゴブリンたちを二匹葬り去ると、我に返ったゴブリンたちは慌てて逃げだした。

 ポートはそのうちの一匹に目掛けて、いつの間にか手にしていた小さな魔石を投げ、構造修飾言語を唱える。

 接続(CONNECT)は既に済ませていたため、無詠唱で十分だった。

魔石(DROP)砕け(TABLE)(STONE)れ)


 小さな魔石が砕け、巨大な炎となってゴブリンを黒こげにして消えた。


「このゴブリンキング、どうしますか」


 我先に逃げ出したゴブリンを追うだけの気力もなく、その場にへたり込んだドルスに対して、ポートが言った言葉だ。

 ポートの手にあった炎の剣は既に魔石に戻り、そして砕け散っていた。

 ドルスは何の話か怪訝そうな顔をしたが、すぐに報酬と思い至り、ゴブリンキングキングを指しながら言った。


「ああ、いろいろと突っ込みたいことはあるが、それは置いておいて、お前が倒したんだ、お前の物でいい。そのへんのゴブリンもな」

「ありがとうございまs」

「きゃーなにこのかわいい生き物!」


 ポートのお礼の言葉はレビテーションを終えた赤いソバージュの女魔法使いに抱き締められたことで遮られた。


「小さーい、髪きれーい、顔もかわいー!」


 黒いローブごしにも大きさがわかる胸の間にがっしりと顔をホールドされたポートは必死に逃れようとするが、しっかりと抑えられて逃れられない。

 しばらくじたばたともがいていたが、やがてぐったりと動かなくなり、ドルスはそうなって慌てて魔法使いを引きはがした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ