第六話
「くっそ、ゴブキンだと!!」
ドルスは、その両手剣でゴブリンを切り落としながら叫んだ。
「ちょっとヤバくない?」
滅多なことでは動じない相方のミーシャの声も焦りを含んでいた。
”街道沿いに出没するゴブリンを退治するだけの簡単なお仕事”
ギルドマスターの話が本当ならドルスとミーシャなら余裕でこなせるはずの任務だったのだが、いざ戦ってみれば、聞いた話とまるで異なっていた。
まず、数が違う。
ゴブリンの数は二~三十匹と聞いていた。
二~三十匹のゴブリンは駆け出しの冒険者ならともかくドルス程度の中堅冒険者であれば怖い敵ではない。
だが、二~三十匹などという生易しい数ではなかった。
倒しても倒してもどこから沸いてくるのか、迫るゴブリンを百匹ほど倒したところで次第に疲れが出てきた。
今まではまだ魔力の残っているミーシャが死角から迫るゴブリンを始末してくれているからなんとかなっていたのだが、ここに来て姿を現したのは三メートルの巨体、ゴブリンキングであった。
ゴブリンキング。
冒険者たちに”ゴブリンキングを倒せるようになってから言え”という言い回しがあるほど有名なそれは、ゴブリンとはいえキングの名を持つだけあり、初級冒険者なら十人でなんとか勝てるか、中級冒険者ならパーティで倒せれば合格、その恵まれた体格にふさわしい強さを持っていた。
もちろん体格だけならドルスも負けていない。
彼の身長は冒険者でも群を抜いてでかく、二メートル半ほどあり、それに見合った筋肉も、冒険者ランクどおりの強さも持ち合わせている。
よってドルスが万全な状態であり、かつゴブリンキングと一対一で戦う、というのであれば互角な勝負を挑むことはできる。
だが、ドルスは多数のゴブリンとの戦いで疲弊しており、いまだゴブリンは残っていた。
経験上、ミーシャが撃てる魔法はあと数発だ。
ゴブリンキングを倒すには不十分。
「とりあえず最大火力をゴブキンに!あとは俺がやる!」
また一匹ゴブリンを切り倒しながらドルスがミーシャに指示を出した。
ゴブリンキングさえ倒せば、残りのゴブリンも散り散りに逃げていくはず、ドルスはそれに賭けた。
「炎の矢よ敵を焼き射よ、ファイヤーミサイル!」
ミーシャの詠唱で三本の炎の矢が空中に浮かび上がり、それはゴブリンキングへと向かっていく。
と、同時にドルスも最後の力を振り絞ってゴブリンキングへと肉薄する。
「なにっ!」
だが、ミーシャの魔法は、ゴブリンキングの前で盾となったゴブリンに当たり、それを打ち倒して消えた。
配下のゴブリンを盾に使う。
これはゴブリンキングと戦ったことのある者であれば当然知っていることであったが、不幸なことにドルスはゴブリンキングと戦ったことがなく、このことを知らなかったのだ。
そこへゴブリンキングの大剣が襲い掛かった。




