Page3 探求の仲間の探求~2
『──ぬおおぉぉぉぉぉぉぉ』
グシャ!
非常に不快感のある音と共に現状最弱と言われている魔獣、ゴブリンはファゴットの前にひれ伏すようにして倒れた。
『ふう、まったくお前の能力はほんっとに役に立たねぇな!』
『昨日話しただろ?おれの能力はおそらく戦闘に適したものじゃないんだよ。』
おれはそう言いながら木から顔を出した。
昨日のことだ。
『は?なんだよその魔書。それでよく探求者になろうと思ったな!』
『仕方ないだろ。おれだってもっと戦闘向きなやつがよかったよ。』
『使ってもないのに自分の魔書にケチをつけるなんて、愚かな人ですね。』
アンナは不機嫌だ。いやまだ上機嫌なとこ見たことないけどね?
『はいはい悪かったよ。おれの魔書サイコー』
『なあ、ひとまず魔書のことは置いといて、今日はお開きにしようぜ。パーティーとしての活動は明日からってことで。』
『そうだな。おれも今日は色々ありすぎてつかれたし。』
ファゴットが仲間になった後、おれとアンナ、そして新しい仲間のファゴットは酒場の2階にある宿で夜を明かした。宿代は2シルバーで、おれがジーグンのおっさんにもらった金の半分以上が宿代に消えた。
『酒代で10カパー、宿代で2シルバーか…残り90
カパー、明日は泊まれねえな。』
おれは快適とは言えないベッドで金を数えながら明日のことについて考えていた。
『明日も仲間集めするか?いやでも、金も稼がないと今後生きていけない。でもおれの魔書は戦闘向きじゃない。』
まあ明日のことは明日決めればいっか。
そう思ってひとまずは眠りについた。
『うっしゃ!それじゃあゴブリンでも狩りに行くか。』
朝、おれとファゴット、アンナは話し合って結局今日は最弱の魔獣、ゴブリンを狩ろうということになった。
おれとアンナは遭遇したゴブリンに対抗する手段がなく、隠れるぐらいしか出来ることがなかった。
そして、今に至る。
それにしても、強い。神官にしてあの戦闘力の高さはかなり異常なんじゃないか?
『まあこんなとこだろ。そろそろ帰るぞ。』
『もう帰るのか?まだ日はそんなに落ちてないぞ?』
『はあ、バカですか?魔書の店でジーグンとかいう人に教えてもらったでしょう。』
『そうだったか?』
そういえば夕方以降は外にグールが出ると聞いたような気がする。
『グールは炎で焼き尽くすか浄化することでしか倒せないんだよ。つまり、今のおれたちじゃ絶対に倒せない。わかったら帰るぞ。』
酒場に戻ってきた。酒場では色んな事ができる。おれは酒を飲みに来たんじゃない。鑑定だ。ゴブリンが持っていた何かの石みたいなものを鑑定しに来た。場合によっては良い値がつくかもしれない。
『ほほう。これは上物じゃな。これをゴブリンが持っておったのか?それならばお主らはかなりるいておるぞ。少しばかり酒でも飲んで待っとれ。なあに心配はいらん。これならば3人で割っても3日分の宿代は余裕じゃろう。』
よかった。金の心配はしなくて良さそうだ。おれは昨日と一緒の席についた。左右にファゴットとアンナが座る。
『すいませーんぶどう酒くださーい。』
おれがぶどう酒をたのんだ時、店主が声をかけてきた。
『お、お前さんは昨日の...ちょうどよかった。お前さんのパーティーに入りたいというやつが待っておるぞ。おい姉ちゃん、こやつが仲間を募集しとったやつだぞ。』
店主が声をかけた先には、美しい女性が座っていた。
4度目の投稿になります!ファゴットが仲間に加わり、そしてまたもう1人...
次回の投稿は20日の0時です。中間試験があって、すこし間が空いてしまうことになりますが、20日に2話まとめて投稿しようと思うのでよろしくお願いします。