笑うピエロその一
「おっ!新しい情報が入って来たぞっ!A市港で怪人クラブが取引するらしい」
「相手は?」
「貿易会社みたいだな…」
「その会社の詳細は?」
「今、出してる…。おっ!この市内で三番目にでかい会社みたいだな。
実際に怪人クラブとの取り引きを頻繁にしている」
「警戒はしておけよ」
「大丈夫だ、その辺は心配するな」
「あの港は俺も行った事がある」
何時もの様にパソコンと無線で情報収集をしている。
すると、数件引っかかる。
だが、最近は一ヶ月に二件ほどしか行われない。
それは灰色の狼が順番に潰していたからだ。
この活動を初めたばかりの頃は山の様にあったが、報道されると息を潜め始める。
『あの取引は上手く行くよな?』
『大丈夫だろ?』
『今回は…』
無線から聞こえて来る男性だと思われる音声が流れる。
『ひっひひひ、あいつは聞いてるかな?』
『それはどうですかね?』
『頭が良い奴はこれを聞いていたら、警戒するよな?普通、ひっひひひ』
突如、聞こえて来る不気味にな声に二人は違和感を覚える。
「この声、誰だ?」
「まさか…。おい、ピエロには気をつけろ」
「誰?」
「お前、聞いた事ないか?」
「俺はないな」
「始末屋ピエロだよ。俺達は下っ端だったから会う事はなかったが、噂で聞いた事がある。
下っ端で解決出来ない問題を始末する奴だ。奴に目を着けられたら面倒だ。
とにかく、用心はしておいた方が良い」
「了解」
『聞こえてるか~?灰色の狼さ~ん?これはほんの挨拶代わりだ。
お前の正体ばらして、首を貰うぜ。俺は正々堂々としてるから、こそこそ隠れたりはしない。
機会があったら会おうぜ~、ひっひひひ』
挑発とも受け取れるこの行為はさらに二人の警戒心を強めた。
不可解な通信を聞いた後日、二人は取引が行われる予定のA市の港に足を運んでいた。
その光景は漁船、賑やう人々が目に映る。
「別に怪しい奴はいないな…」
「そわそわするな怪しまれる。ここは奴らのシマだぞ」
二人は何時も襲撃をする時必ず、下見をする。
一番の目的は逃走路の確保だ。
昼間は普通の港だ、怪人クラブの構成員らしき人間は見当たらない。
「なぁ、兄ちゃん達…」
この声に二人は心臓に冷たい刃物が刺さる感覚が走る。
「何でしょう?」
「見ない顔だな?」
「…」
空間に沈黙が作られる。
「魚でも買いに来たのかっ!うちの買っててくれよっ!新鮮だぜっ!」
「そうなんですよっ!今日、家でパーティーやるんで探してたんですよっ!」
ただの鮮魚店の店員で二人は安心した。
だが、斉藤は何かの視線に気づいていた。
買い物客を装い、その場を去ろうとするが後ろから足跡が聞こえる。
人数は二人だが、顔を見られるのは不味い。
「ちょっと、そこのお二人さん良いかい?」
「なんでしょう?」
「警察の者だけど…」
「警察?」
その言葉を聞いて、信用して振り向くとそこには初老のスーツを着た男と若い男がいた。
「失礼、私はA市県警の鈴木文代だ。こっちは田中だ、よろしく」
警察手帳を確認する。何より、A市県警のぶんさんは有名だ。
あのシルバーファングと一緒に事件を解決する、相棒的存在だ。
「はぁ~、それで何か御用でしょうか?」
「あぁ…、実は怪人クラブがこの辺で取引をするって言う情報が入ってましてね?
何か知りませんか?怪しい人影を見たって言うのでも良いんで…」
「俺達は何も知りませんよ?なぁ?」
「あぁ、今日は魚を買いに来ただけなんで」
「そうですか、引き止めて申し訳ない。これで失礼します、何かあったら警察へ連絡を下さい。
些細な情報でも構いません、ご協力ありがとうございました」
二人は刑事の下を去り、家路に着く。
「あの二人、怪しかったですか?」
「おめぇにはまだ、刑事の勘って奴がねぇのか?どう見ても怪しいだろうが」
「そうですか…」
「だいたい、こんな時間に男二人で港に買い物っておかしいとおもわねぇか?」
「あっ!」




