灰色の狼と新世代
『最近、灰色の狼と呼ばれる者による犯罪が後を絶ちません。
被害者は黒い噂が絶えない企業の社長です。
しかも、怪人クラブと取引とあると噂されています』
テレビを見ながら、スナック菓子を頬張る音が一室に響く。
「おはようごさいます~」
「よぉっ!部長っ!」
その光景を何時もの事だと流して、自分のデスクに腰を下ろす。
視線の先に書類の束が意味ありげに置いてある。
「ふぁ~、あっ!キバっ!てめぇ、また俺のぽてちをっ!」
「いいではないか」
炭酸の音も響く。
「コーラも飲んでんじゃねぇっ!」
「ぷはーっ!」
「今週のジャンプ返せっ!」
いつの間にか雑務課も賑やかになった。
部屋の真ん中に席を占拠しているのは二頭身の生物、キバ。
「ダーリン、おはようっ!」
「姉さん、おはようございます」
「私ね、怪人クラブ辞めてこっちに転職したの。これからよろしくねっ!」
「はっ?」
「そうですか。こちらこそ、よろしくお願いします」
「じゃ、私は仕事があるからまたね」
嵐の様に通り過ぎて行った、元怪人クラブ最上位戦闘員姉さん。
組織を辞めたと言うのは事実なのだろうか、この会社に工作員として潜入している可能性も考えられる。
最近の話になるが東京湾決戦後、怪人クラブから退職する人間が増えていると言う話を耳にする。
だが、犯罪組織を抜けるのは簡単なのだろうか。
日本のやくざは抜ける時はけじめとして、指を一本詰めると言うがあれは嘘である。
やくざを辞める時はすんなり抜けられる。
その理由はシノギを仕切っている人間が辞めれば、その席が空く。
『最近、狼が流行ってますね。レッドウルフをまねをしたファンですかね?』
『理由はどうあれ犯罪ですからね、早く犯人の逮捕を祈るばかりですね』
『話題を変えましょう、レッドウルフの活躍がすごいですね』
『彼がデビューしてから、一年。何と、新人と異例の25位ですよっ!』
テレビのワイドショーが流れている中、電話が鳴り響く。
「もしもし」
『一狼。加藤君を連れて、直ぐに灰色の狼の調査をしてくれ』
「了解」




