人間対怪獣その十
撤退をしている途中、怪獣達の様子がおかしい。
その光景を見ている陸上自衛隊、レッドウルフは異常性に気づく。
『こちら、対策本部。こちら対策本部、各中隊隊長応答されたし…』
「はい。こちら、第二中隊隊長であります」
『所属不明の黒い物体が接近中、各隊警戒せよ』
「了解」
怪獣達が消えて行く光景を撤退中の自衛隊とレッドウルフも目撃していた。
現場にいる者達もその光景を息を飲んで見ていた。
現代兵器が効力が及ばない、相手を前に誰もが絶望して時だ。
颯爽と現れ、群れを成した怪獣を一人で片付けた。
正にヒーローが助けてくれたと誰もが疑わない。
「おい」
黒い鳥が巨大な赤い鎧の肩の上にしゃがみ込む。
「え?!私ですか?!」
「お前の肩に乗ってるんだから、当たり前だろ」
「それはそうですね…。そ、それより、あなたは鴉っ?!」
「覚えてたか?それはどうでも良い、ちょっとあの怪獣共にミサイル撃ってみろ」
「でも、さっき全く効かなかったんですよ…」
「良いから、撃ってみろっ!」
「わ、解りましたっ!」
言われるがままに、ミサイルポットの引き金を引く。
それと同時に鉄の筒から轟音が鳴り響き、そのまま放物線を描き群れを成した怪獣に直撃。
「「「「「ぎゃおおおおおっ!!!」」」」」
命中すると、怪獣達が突然悲鳴を上げて消滅する。
「えぇぇぇっ!」
「いちいち、驚くなうるさい。一狼の部下は賑やかなんだな」
この光景を見て、驚嘆しているのは加藤だけではない。
画面越しで見ていた、怪獣対策本部だ。
『各部部隊に入電っ!ただちに臨戦態勢に入り、怪獣達に攻撃を開始っ!繰り返す』
鴉の活躍により謎の障壁が消え、自衛隊に反撃の好機が舞い込んで来る。
これにより、過半数の怪獣を撃破に成功。
数が減る頃には戦車の弾数がなくなり、第一作戦を終了。
第二作戦を開始する事にする。
「鴉さん、もう行くんですか?」
「俺は配達に寄っただけだからな」
この一言だけを残し、空に向かい消えて行く。
だが加藤は解っていた、本当は照れ隠しで何も言わずに帰った事を。
これはまるで正体を隠すヒーロー見たいだ。
見たいでは無く、彼は窮地に立たされていた自分達を助けてくれた紛れもないヒーロー。
かっこをつけずに姿を消すのはクサイ演出をすると少し鼻で笑う。
この戦いが終わったら、彼にお礼に行こう。




