人間対怪獣その八
後退と言う現実を突きつけられた。
だが、敵に背は向けない。
これは誇りではなく、守りると誓った決意の現れだ。
「「「ぎゃおおおおおおっ!!!」」」
戦車内から聞こえて来る、降り注ぐ恐怖。
だが、逃げる言葉はない。
今は耐える時だ、奥歯をかみ締め操縦レバーを握る。
この光景を目の当たりにした、怪獣対策本部は右往左往していた。
「どうなってるっ!?全く効果がないぞっ!」
「部隊からの連絡はっ?!」
「落ち着けっ!お前らっ!」
完全に出鼻を挫かれて、混乱状態になっている。
「くそっ!」
作戦指令官が机を力一杯に叩く。
この行動はもちろん、八つ当たりである事は誰にでも理解出来た。
「指令、第二防衛線に怪獣達が接近しています」
「そんな事は解ってるっ!」
上からの命令で現代兵器が有効だと聞いていたから、何も疑わずに作戦行動をした。
だが、全く歯が立たない。
レッドウルフが実戦での導入され結果が出たから、この作戦に実弾の使用が決定された。
作戦立案の段階でヒーローと怪人達を全面に出すと言う作戦と現在進行している作戦。
やはり、超能力者達を軸に作戦を立てた方が良かった。
「指令っ!モニターに未確認の物体がっ!」
「何だ…。ん?これは」
巨大モニターに映し出された、高層ビルに黒い翼を畳んで座り込んでいる。
風が吹く中、冷めた目線で怪獣達を見下している。
「「「ぎゃおおおおっ!!!」」」
ビル郡の中を群れを成して、行進する化け物達。
「頼りにならねぇな~」
溜息混じるの言葉を口にしながら、怪獣の群れのど真ん中に着地する。
その瞬間、巨大な眼の注目がその黒い影に集まる。
「こっちに気づいたか?」
「「「ぎゃおおおおおっ!!!」」」
「は~、やかましいな…」
再び溜息を吐き、それと同時に黒い両翼を開く。
すると、空が黒い雨が降り注ぐ。
「「「ぎゃゃゃゃゃゃゃっ!!!」」」
怪獣達の身体を貫き、群れの半分が消えて行き視界が晴れる。
その群れの中心に明らかに容姿が違う怪獣が立っていた。
「誰だ、我の眼前に立つ愚か者は?」
「お前こそ誰だよ?」
「私は偉大なる、怪獣王様の右腕で…」
「うるせぇ」
怪獣が話している、最中にその巨大な口に黒い刀を投げつける。
「貴様、人間の分際で私に剣を向けるかっ!」
「俺には関係ねぇ」
「良いだろう、人間風情に相手をしてやろう」




