人間対怪獣その七
怪人クラブ最上位戦闘員である鳥が標的である超巨大怪獣の様子を偵察任務を遂行中、発見したのは怪獣の大群。
その群れを発見から二日後、東京に上陸すると言う推測がされる。
その48時間が経過、東京湾が冷たい鉄の塊で覆い包まれる。
『こちら、怪獣対策本部。そちらの状況は?』
「こちら、東京湾第一防衛線本体。視認できる距離まで標的接近中」
『了解、第一防衛線各員。標的の迎撃の用意』
「了解」
その場の空気は言葉では表現出来ない程緊迫していた。
一人一人がこの場で自分の死と言う体験を肌で実感していた。
唾を飲む微量の音で聞こえてきそうな、雰囲気だ。
その中で真っ赤で重厚な鎧を纏った、武者が一人佇む。
その武者は背中には多彩な現代兵器を背負い。
その両腕にも現代兵器。
つまり、ミサイルを大量に搭載されているのだ。
レッドウルフ対巨大生物兵器多様対応使用型。
彼のこの装備はA市支社が迫り来る、怪獣との決戦に備え技術部に政府が資金提供して開発。
災害にも耐えられる強度性と単機で街を制圧が可能な攻撃性を兼ね備えた、戦術兵器である。
これを作戦に加えて、怪獣を対処する。
レッドウルフ作戦に加えたのはちゃんとした理由がある。
まず、他のヒーローより動きやすい事。
もちろんこれは会社の収益面。
一番は武器を自由に付け替えが出来ると言う事だ。
もちろん現在の様な事態を想定して設計され作られた。
戦争介入を目的に作られたわけではなく救助や人道支援の為である。
本人はそんな事は頭に全く無い。
「はぁ…。気づいたら、戦車達のど真ん中にいるよ…。それにこれ重いんだよな」
あれよあれよと日本を守る作戦の最前線にいる。
『調子はどうですか?』
「…、別に悪くはないですよ」
『そうですか、それは良かった』
「あの…、相川さん」
『はい?』
「この作戦が終わったら…」
『やめてください』
「えっ?!まだ、何も言ってないんですけどっ?!」
『だって、加藤さんはちゃんと帰ってくれますから』
「…」
『のろけてるんじゃね~ぞ』
「白牙さんっ?!」
『敵はもう目の前だ。俺は第二次防衛線に行く、背中は任せろ』
「はい…」
何時もの雰囲気は違い、この戦いに参加している者達はぴりぴりとしている。
当たり前だ、自身の命と日本に住んでいる人々の命がかかっている。
緊張しない方がおかしい。
「「「ぎゃおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」
怪獣達の怒声が何重にも空に響き渡り、地面にも揺れる。
『作戦開始っ!総員、目標に向け攻撃開始っ!』
この声と共に怒号が鳴り響き、地響きがさらに強くなる。
数えるのも、馬鹿馬鹿しくなる程の戦車が火を噴いている。
さらにその中に混じっている、赤い戦士も花火を打ち上げる。
『第一陣、攻撃止めっ!』
海上を漂う、煙が晴れる。
「「「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」
日本の総数と呼べる、戦車の大砲を受けても殆どの怪獣が無傷。
『第二陣攻撃開始っ!』
だが、その瞬間。
日本の空が真っ赤に染まる。
「「「ぎゃおおおおおっ!!!」」」
怪獣達が空を向いたその時だ、その大口を開き灼熱とも言える息を吐いた。
『退避っ!退避っ!』
空爆は無意味になる。
戦車隊は後退。怪獣達の上陸を許してしまう。
その光景をあくびをしながら、高いビルで眺めている黒い鳥がいた。




