人間対怪獣その三
「調整は済んだのか?」
「まだ、最終調整がまだ…」
技術部の倉庫に巨大な鎧が聳え立つ。
それは対巨大生物用兵器、多重強化装甲である。
つまり怪獣と戦う為に開発された専用の兵器である。
「失礼しま~す」
覇気が無い声が二人の耳に入る。
「加藤さんっ!早速ですが、スーツを着てくださいっ!」
「えっ…、いったいどうしたんですか?」
「あれを見てくださいっ!」
興奮する彼女の視線の先に目を向けると、そこには巨大な鎧が静かに佇んでいる。
「あれ、何ですか?」
「あれは対巨大生物用兵器、多重強化装甲ですっ!」
「多重?それって、重ねて着るって事?」
「はいっ!スーツの上に着るんですっ!さぁっ!早く早く」
何時ものスーツを着る。
「そこに入ってください」
「はい…」
指示通りに梯子を伝って行く。
自分の何倍の軽く三倍はあると思われる、物体に登って行く。
鎧の中心に入ると、耳に心地が良い声が響く。
『それでは多重強化装甲の起動実験を行います』
機械の起動音が鳴り響き、何かが繋がるのが感覚で解る。
『何か違和感はありますか?』
「い、いえ、何も…」
『それではそのまま、歩いてください』
「えっ?!」
『何も難しい事は何もありません、SFアニメのロボットの操縦ではありません。
日常通りに歩けば良いんです』
起動音がなる、その巨大な鎧の足が動く。
「これが新しい能力強制発動剤だ」
まるで医務室にいるような、錯覚を覚える。
技術部の人間の掌にある、薬の見た目は普通の錠剤だ。
「また、飲むのかよ…」
「文句を言うなよ、これは社長命令だ。それに君は超特異体質だろ?
それに今回は薬の効果を10分に設定しておいた。君なら、それだけの時間で十分に戦えるだろう」
黙ってその話を聞いていた。
「それと、なるべくに同時に服用するな」
「解った」
「また、ベットの上で目を覚ます事になるぞ」
その言葉を頭に入れ、部屋を出る。
外に出ると怪獣が群れを成している。
その中でヒーロー達が戦っている。
その光景を眺めている。
「白牙さ~ん」
何時もの声が聞こえる。
「技術部に行ったか。それじゃ、やるか」
「はいっ!」
真っ赤な巨大な鎧を纏った、レッドウルフ。
ミサイルポット、巨大なアーム。
それと劣悪な環境でも迅速な行動ができる、キャタピラが仕込まれた足。
これでこの状況を少しでも良くできる。
これで怪獣達に苦戦を強いられる事も無い。
反撃開始だ。




