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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
王と優しさと力
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旧友と同盟その二

渋い良く通る声が店内に響く。

その声の主は株式会社A市支社代表取締役ミスター。

否、日本で活躍しているヒーロー達の原点であり頂点。

誰もが憧れた存在、正義の味方ミスターだ。


「いらしゃっいませ、お待ちしておりました。あちらでお待ちの方達が」

「ありがとう、お邪魔させてもらうよ」


ミスターと他の男が二人後に続く。

一人目は端整な顔立ちとスーツの上からでもはっきりと認識できる鍛えぬかれた肉体。

現在日本でのヒーローの頂点であり、ミスターの息子であり、ミスターヒーローの称号を持つ男。

シルバーナイトである。

その横のいるのが日本最後の侍であり、A支社最強の男。

ランキング9位、ミスターサムライ。

着物を渋く着こなし、使える君主の後ろに静かに佇む。


「まずはこの場に両者の代表が同じ席に付いた事に感謝を申し上げます」

「良いんだ、じい。後は我々が話しをする」

「了解いたしました」


執事は主の言葉に従い、後ろに下がる。


「こうして顔を合わせるのは何年ぶりだろうな…」

「正直、忘れてしまった。昔話をしに来たんじゃないんだろう?ミスター。

単刀直入に言おう、互いにあの化け物に手を焼いている。それを解決する為の会合だろう?」

「そうだったな。話は進めよう」

「まだ書類にサインはしていないだろ?一つ条件がある」

「何だって?」

「条件を飲めないなら、同盟は無しだ」

「ちょっと待てっ!!話が違うぞっ!?」

「落ち着け、シルバー…。それで条件って何だ?話だけでも聞こう」

「株式会社ヒーローの株を50パーセント渡して貰うか?」


ミスターの表情が険しくなる。

当たり前だ、株式を50%を保有すると言う事は会社自体を乗っ取る気でいる。

何の目的でそんな事を発言したのかは、明白だ。


さすがは日本代表をする、悪の組織だ。

金銭ではなく株を要求、しかも経営をするつもりでいるらしい。

だが、その要求を飲むわけにはいかない。

そんな事をすれば悪に屈する事になる。

正義のヒーローが悪に膝を付けるには行かない。


「それではこちらも条件を付けよう。怪人クラブに所属している戦闘員のデータ全てと全国にある支部の情報を全て、こちらに渡せ」


正義の味方の発言とは思えない言葉が出て来た。

だがこの男も経営者でもある為、ただで転ぶ事はしないのだ。


はっきり言って、両者の要求は強迫と言って良い。

片方は会社の乗っ取り、片方は組織を壊滅をほのめかす。


「貴様っ!調子に乗るなよっ!」

「おっと動くな、怪人コピー。その気になれば俺達全員でそっちの社長の首を跳ねる事も出来るが?」

「くっ…」


首に鋭い刀の刃が当たり、その気迫に負けそうになる。


「まぁ、まぁ、お互い冷たい物でも飲んで落ち着いて下さい」

「腰抜けは引っ込んでろっ!これは俺達の問題だっ!」

「私にそんな口を聞けるなんて随分偉くなったんだな、怪人ジョーカー?

良いか?ここは私の店だ、それにお宅のボスと執事の顔に泥を塗る気か?それとミスターサムライ、物騒な物は仕舞え。

喧嘩がしたいなら、外でやれ。私がその気になればお前達幹部ぐらいはどうにでもなる。それはお前達が良く解ってるだろ?」


緊迫した空気がさらに輪をかける。

その最低最悪の空気を一人の人間の言葉で雰囲気が変わる。


「少し宜しいでしょうか?なぜお互い、そんなにピリピリしているのでしょうか?

共通の問題を解決をする為にここに来たんじゃないでしょうか?マスター言う通りだ、頭を冷やした方が良い」


机を囲む六人の中で一番冷静だったのがシルバーナイトだ。

さすがは日本代表するヒーローだ、どんな状況も冷静に対処している。


彼は外交やテロリストの交渉の席に同行した経験があり、今と似た状況も慣れている。


「確かにシルバーナイト君の言う通りだ、条件を変えよう」

「確かに少し頭を冷やした方が良いな、そちらの幹部達にも失言をしてしまった」

「そちらが持っている、パワードスーツの設計図が欲しい。それとこれは…、これは良いな」

「何?それで良いのか?そんな物で良かったら、喜んで提供しよう」

「それだったら、こっちは何も要求しない」

「良いんですか、社長?あいつらは同盟関係が終わったら、何をするか」


小声でサムライが不安げな表情を見せる。


「これで同盟成立と行こう」

「あぁ、しばらくの間よろしく頼む」


両者の代表が熱く握手を交わす。


「それではこの書面に同意のサインをお願いします」


その書面の内容は決して、片方が有利になるように作られていない。


『この同盟関係を株式会社ヒーロー、怪人クラブの代表両者は以下の条件を厳守する事を誓う。

一互いに協力を惜しまない

二互いの領土、利益、行動を侵害をする行動決して行わない

三互いの怪獣に対して保持している情報は開示する

四互いに以上の条件を厳守する』


海の底から見上げる巨大な瞳はまるで宝石の様だ。

その輝く瞳に映る世界は何色だろう、我々人間では到底想像も付かないだろう。

澄んだ水の底から鈍い明かりを頼りに浮上する。

水面から顔出す。

そこは自分が知っている場所と大きく違っていた。


これは最初から解っていた、人間達は自分から奪っていた物だからだ。

人間は醜い。

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