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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
おじさんヒーロー誕生
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おじさんヒーロー誕生!

鼻の奥を刺激するこの匂い、誰もが知っているこの匂いで瞼が開く。


「はっ!?生きてる?」


身体を起こすと、ベットの上にいる事が理解出来る。


「失礼します。あれ!加藤さん意識を取り戻したんですか!」

「え?はい…」


看護婦の声に少し戸惑い返事を返す。


「ちょっとそのままでいてください!先生を呼んで来ます!」


慌てた看護婦が部屋から走り去っていく。


「おかげんはどうですか?加藤さん?」

「あの~、まだ何が起きたのか実感がないです」

「そうでしょうな、あなたは仕事中に気を失っている」

「あ!そうだ、ドラゴンは?!」

「三日前に捕まった怪人の事ですか?」

「捕まった?私は確か、その怪人に殴られて…」

「それが原因でしょう、それで意識を失った。それにあなたは非常に危険な状況だった。

内出血が酷く、少しでも処置が遅れていれば命を落とす所だった」

「そ、そうなんですか!それはありがとうございます!」

「お礼は私ではなく、あなたの上司に言うんだね」

「え?白牙さんが?」

「血液型が同じ人が近くにいて良かった。それでは失礼するよ、後一日は安静にしているように。

加藤さん、あなた大分無理をしていた様だ。休んだ方が言い」

「解りました」


先生が部屋から立ち去った、直後に見覚えのある顔が病室に入って来る。


「お義母さんと真紀!」


数週間会っていなかった一人娘と義理の母が病室に尋ねて来て、その姿に驚きを隠せない。


「お、お父さん。身体は大丈夫?」

「あぁ…、何とか無事だったよ」

「それより、努さん。ヒーローに再就職したんだって?」

「は、はい。おかげさまでまた就職出来ました」

「その歳で大丈夫なのかい?」

「きついですけど、やりがいのある仕事です。私は変身も超能力も無いですけど…」

「そうかい…。それより、優子が迷惑をかけてすまないね…」

「お義母さんが頭を下げる事はないんですよ!逃げられるような事をした私に責任があるんですよ…」

「お父さんは悪くない。お母さんは若い男の所にいるよ、ずっと浮気してた」


娘が口にした、事実に思考が止まる。


「浮気って…、どういう?」


動揺している場合ではない。その事実を聞かなければいけない、自分にはその責務がある。


「お母さんはずっとお父さんに黙って、浮気してたの私が中学生の頃から」

「真紀ちゃん、その話は後で…」

「でも隠しておけない!お父さんがリストラされて、再就職しても電話もして来ない!

それに大怪我して入院してもお見舞いにも来ないなんて!酷すぎる!」

「そうか…」


余りの悔しさに涙が零れそうになるが堪え、言葉がこれ以上出て来ない。

この場の空気ははっきり言って最悪だ。


「じゃまするぜ、部長」


ボサボサの白髪頭がゆらゆらと揺れて、病室に足を踏み入れる。

扉が開くと思い空気が一気に変わる。


「白牙さん!無事だったんですか!」

「当たり前だろ?この俺が簡単に死ぬわけないだろう」

「努さん、この人は?」

「この人は会社の上司ですよ」

「あ、どうも」


けだるそうなに軽く挨拶をする。


「白牙さん、助けて頂いてありがとうございます」

「あっははは!頭なんて、下げなくて良い。俺が助けたんだ、死なれたら困る」

「そうですか…」

「それより、何時退院できる?」

「明日にはできるって先生が言ってましたけど?何か?」

「ミスターが退院したら、話があるってよ。じゃ、俺帰るわ」

「ありがとうございました」

「気にすんな」


その笑顔で落ち込んでいた気分が一気に変わり、助けられた嬉しさと感動で涙が零れた。


退院後、社長室。


「加藤君、退院おめでとう!大変な目に会わせてしまったね。これは私の配慮不足だ許してくれ」

「しゃ、社長が頭を下げる事はないんですよ!悪いのは突然飛び出した私ですから…」

「そんな事ない、君は身を挺して人を守ったんだ。君に責任はない、君は立派にヒーローとして仕事をしたんだ。

自信を持って良い!」

「そ、そうですか?ありがとうございます」

「それと、身体の方は何もないかね?」

「はい、おかげさまで完治しました。それが何か?」

「君に輸血したのは白牙でね、あの時は緊急事態で仕方がなかったが…」

「どういう事ですか?」

「白牙の身体は特殊でね、君も見ただろう?」

「私はあの時は気を失っていて、何も」

「そうか、白牙は変身型の能力でね。その条件が満月が出ていないと変身出来ないんだよ」

「え?!そうだったんですか?!白牙さんは狼男って事ですか!」

「そう言う事になるかな…、その血が君の身体に入っている。何も以上はないね?」

「いえ…、ただ身体が軽いです」

「何も無いならそれで良い。話は変わるが開発部から新型スーツの実験がしたいと話が来てるんだが、誰も手が回らないくね。

どうだね加藤君、スーツの実験を手伝って見てわ?」

「え?私がですか?!」

「嫌かね?」

「え、やります!」

「そうか、早速開発部に向かってくれ。話は私が通しておく」


社長命令と言う、胸が躍る言葉にさらに身体が踊り出しそうになりながら開発部に向かう。


「失礼します!雑務課所属加藤努、社長からの指示により参りました!」

「え?加藤さん?」

「もかして、相川さん?」

「実験に協力してくれるって、加藤さんだったんですか?!」


何故か彼女は驚いているが、一様動機にもなる。それに若くて綺麗。

同期と一緒に仕事が出来るのは嬉しい事だ。


「新型スーツの実験って聞いたんだけど?」

「私が開発した、スーツなんですよ。企画したら通って、開発中です」


頬を赤く染める彼女もさらに魅力を増す。

自分の企画が通り嬉しいのだろう。


「え?!相川さんが作ったの!」

「こっちです」


開発室と思われる場所はケーブルが繋がっていて、SF映画のようだ。

その中心部に開発中と思われるスーツが置いてある。


そのプロトタイプのスーツは洗礼され、無駄な所が一切ないと言った感じだ。

これを見ていると気高い狼を連想させるが攻撃的な赤色のボディ。

一言で言うとかっこいい。


そのスーツを瞳映す中年おじさんは少年の様な瞳だ。

この瞬間、おじさんヒーローが誕生した。

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